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「地球見てる宇宙人」本気探し 天体からの電磁波解析 ホーキング博士も賛同

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「地球見てる宇宙人」本気探し 天体からの電磁波解析 ホーキング博士も賛同

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ハッブル宇宙望遠鏡がとらえた「五つ子銀河」の写真。はるかかなたから送られてくる電磁波を解析し、地球外生命体を探索する過去最大規模のプロジェクトが始動した(AP)  地球外の知的生命体を探し出す本気モードのプロジェクトが動き出した。車いすの天才宇宙物理学者として知られる英国のスティーブン・ホーキング博士(73)とロシアの大物実業家、ユーリ・ミルナー氏(53)が20日、ロンドンで共同会見を開き、宇宙から送られてくる電磁波の中に地球へのメッセージといった文明の存在を示す信号がないかを解析する研究プロジェクトを発表した。1億ドル(約124億円)を投入し10年をかけて、地球がある銀河系内の100万個の天体と銀河系周辺の100個の銀河を対象に探査。世界中の市民科学者約900万人もボランティアで参加し宇宙人との接触を試みる。

 「最もエキサイティング」

 「宇宙のどこかで知的生命体が私たちの明かりを見つめ、それが何を意味するかに気付いているかもしれない」

 世界最古の科学学会であるロンドンの王立協会で会見したホーキング博士は人工音声を通じて、「ブレークスルー・リッスン」と名付けられたプロジェクトへの賛同を表明した。

 その上で「地球外の知的生命体の探索は21世紀の科学で最もエキサイティングな問いかけであり、その答えを見つけ出すときが来た。宇宙にはわれわれしかいないのかどうかを確かめることは重要だ」と、プロジェクトの意義を強調した。

 ミルナー氏も「現在のテクノロジーは“われわれは(宇宙で)ひとりぼっちなのか?”という人類最大の問いに答えを示す真のチャンスをもたらしてくれる」と期待を寄せた。

 海外メディアの報道によると、ミルナー氏は米に拠点を置き、米フェイスブックや中国のアリババなどのネット企業に巨額の投資を行う名うての投資家として知られ、1億ドルはポケットマネーから出すという。

 飛躍的に探査能力向上

 計画は米国とオーストラリアにある3つの電波望遠鏡を使って来年1月にスタートする。地球外知的生命体から送られてくる信号を探査するプロジェクトは1960年代から断続的に行われてきたが、今回は過去最大規模になる。具体的には、望遠鏡の感度が従来の50倍、探査範囲は10倍、周波数域は5倍と飛躍的に向上。過去の探査では収集に1年かかったデータ量以上を、わずか1日で集めることができるという。

 銀河系の中心部にある地球に近い環境を持つなどの約100万個の天体と、銀河系の周辺にある100個の銀河が探査対象となる。

 地球に届く電磁波の解析には、宇宙科学分野で多くの優れた人材を輩出している米カリフォルニア大バークレー校が全面協力する。全世界の900万人のボランティアも解析に加わるほか、集められた膨大な電波のデータはウェブ上で一般公開し、広く参加を呼びかけ、人類の英知を結集して、信号やメッセージなどが隠されていないかを調べる。

 ミルナー氏は「過大な期待はしていないが、これまで探してもいなかった新たな何かを発見できるかもしれない」と、意気込む。

 解析に全面協力するバークレー校で多くの太陽系外惑星を発見した著名な天文学者、ジェフリー・マーシー氏(60)は米メディアに「宇宙科学と生物学との接点は明らかに拡大している」と語り、“未知との遭遇”に期待を寄せた。(SANKEI EXPRESS

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