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ベーコン味のプリン、チョコとひき肉のトルティーヤ…電脳レシピの味は? IBM「シェフワトソン」作
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オリジナル料理を創作する人工知能ソフト「シェフワトソン」を開発した米IBMのエンジニア(左)と米人気料理雑誌「ボナペティ」の編集者=2014年6月30日、米ニューヨーク(AP) ベーコン味のプリン、日本酒とソーダにベーコンを突き刺したカクテル、チョコレートと牛ひき肉のトルティーヤ包み…。米IBMの人工知能(AI)「ワトソン」が考案した料理のレシピ本が14日、欧米で発売された。昨年開発された専用ソフト「シェフワトソン」が、おいしさはもちろん、栄養素や化合物を分子レベルで考え、無限の食材の組み合わせの中から創作した65種類の料理のレシピが収録されている。常識にとらわれた人間のシェフには決して思いつかないような独創的な食材の「マリアージュ(出合い)」が特徴だ。
レシピ本のタイトルは「シェフワトソンの経験的知識に基づく料理」。自ら考え、学習し進歩するAIのワトソンは2011年に米クイズ番組「ジェパディ!」で人間のクイズ王に勝利。IBMに賞金100万ドル(約1億2000万円)をもたらしたことで一躍有名になった。
IBMではさまざまな分野での商用プロジェクトを進めているが、その一つが料理分野。昨年、米人気料理雑誌「ボナペティ」との共同開発で、利用者の好みなどに応じてレシピを考案してくれる「シェフワトソン」を世に送り出した。利用者が好みの食材や調理法を入力すると、100種類のオリジナルレシピを提供する。
今回のレシピ本の作成に当たって、シェフワトソンは「ローズマリーとじゃがいも」といった料理をおいしくする膨大な食材の組み合わせを学習。そのデータを基に、斬新で味の相互作用が楽しめるだけでなく、食材が含む栄養素や化合物も考慮して、数千種類の料理レシピを考案した。これを約100種類に絞り込み、最終的に65種類まで厳選した。
料理はどれも、分子レベルで人々に喜びや楽しさを与えるものだという。IBMのワトソン研究センターのスティーブ・エイブラムス所長は英紙デーリー・テレグラフ(電子版)に「このレシピ本は、ワトソンがどれほどの実力を持つかだけでなく、人間と機械が行う将来の共同作業における驚異的な可能性をも示している」と胸を張った。
実際、食材の組み合わせはどれも刺激的だ。例えば「オーストリア風チョコブリトー」は、チョコレートとシナモンを混ぜた牛ひき肉、つぶした枝豆、アンズのピューレをトルティーヤ(トウモロコシの薄焼きパン)で巻いたもの。「ベトナム風アップルケバブ」は、リンゴ入りの鶏肉のミートボールとカレー味の鶏肉をイチゴとパイナップルで味付けした。
「ベルギー風ベーコンプリン」は、ベーコンのスモーキーな風味とバターミルク味が絶妙にマッチ。「プラムパンチェッタサイダー」は、日本酒をサイダーで割り、そこにスライスした梅とオレンジの皮、さらにグラスからはみ出るほど大きなベーコンを突き刺したカクテルで、見た目も衝撃的だ。
このほか「トルコ風ブルスケッタ」や「インド風パエリア」「スイス・タイ風キッシュ」といったレシピもあり、シェフワトソンが、世界各地の料理を融和させようとしていることもうかがえる。
AIをめぐっては、車いすの天才物理学者、スティーブン・ホーキング博士(73)が「猛烈なスピードで進化し、将来、人類を滅ぼす可能性がある」と警告し物議を醸した。シェフワトソンはすでに人間を超え、暴走を始めたのか。実際に料理を作って味わってみるしかなさそうだ。(SANKEI EXPRESS)