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こだわりぬいた本場のクオリティー メキシコ食堂 ORALE!
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煮込みビーフ、挽肉のスパイシーミート、エビとアボカドと3種類あるタコス(各500円~)も、ソフトな食感のトルティーヤ(皮)を使った本場の味だ=2015年3月23日、京都市中京区(志儀駒貴撮影)
京都随一のオフィス街、四条烏丸に昨年11月にオープンした「メキシコ食堂 ORALE(オラレ)!」は、京都にはほとんどない本格的なメキシコ料理を提供する専門店だ。約1年間、本場メキシコに住み、田舎の主婦や先住民族から現地の味を教わったというオーナーシェフが作り出すメニューの数々は、細部にまでこだわり抜いた文字通りの本場の味。京都はもちろん関西でも極めて珍しい驚きのクオリティーは早くも地元の女性たちの間で話題となっている。
メキシコの街並みを思わせるオレンジ色と水色が基調のカラフルな外観のお店に入ると、しゃれた雰囲気の店内では陽気なラテン音楽が鳴り響き、雰囲気はすっかりメキシコ気分…。
京都市出身のオーナーシェフ、池尻一也さん(40)は、30代で京都市内に飲食店を開業するが、見聞を広めたいとこの居酒屋をたたんで数カ月間、フランスやスイスなど欧州を旅した後、以前から尊敬していた人物がメキシコ料理店の店主だったことから、自身もメキシコに渡り、約1年間、現地の日本料理店に勤務しながらメキシコ料理を学んだ。
「派手さはないですが、かみしめるようなおいしさやサルサの多彩な使い方、そして味の奥深さといったメキシコ料理の魅力に驚いた」池尻さんは、現地のメルカド(市場)に入り浸り、さまざまな現地の食材に接するたび、メキシコ料理の魅力に取りつかれていった。
「町の食堂でおばちゃんが作っている“お母さんの味”的な料理が本当においしい。市場近くの山間部の集落に住む人々が、毎朝、山から下りてきて、市場の前で焼きたてのトルティーヤを売るんですが、それが衝撃的なおいしさで…。レシピも各家庭で違っており、先住民族の村で教わった料理もありますよ」(池尻さん)
そんな貴重な体験や知識を積み重ね、4年前に帰国した池尻さんが、満を持して開業したのがこのお店とあって、どのメニューもまさに本場の味。アボカドに塩とライムに少しサルサを加えた「ワカモーレ」をコーンのチップスでいただくだけで図抜けた実力が分かる。
鯛といった白身魚をライムジュースでマリネし、塩とオイルでマリネした野菜やアボカドを添えた「魚介のセビーチェ」も、ライムの爽やかさが白身魚のうま味を引き立てる。「メキシコは海沿いの町なら魚介専門のレストランがあるほどで、魚介類の料理のおいしさも格別です」(池尻さん)。
タコス(400円~)も、煮込みビーフ、ひき肉のスパイシーミート、エビとアボカドと8、9種類あり、これをサルサや青とうがらしの酢漬けと一緒にいただく。トルティーヤ(皮)も米国のパリパリしたものではなく本場のソフトな食感のものを採用。
そして夜のみのメニュー「骨付き鶏もも肉のモーレソース」では、数種類の唐辛子やスパイス類とカカオなどを煮込んだメキシコ伝統のモーレソースの濃厚な甘みと鶏肉のうま味が融合。京都では恐らくここでしか提供していないメニューでもあり、これを食すためだけに来店しても良いくらいの絶品料理だ。
さらに、牛ハラミを使った「牛ステーキのファヒータ」は、すりつぶしたトウモロコシを練り、鉄板で手焼きして籐かごに入れて蒸らしたトルティーヤと一緒にいただくが、トルティーヤの素朴な味わいも魅力だ。
記者はロサンゼルス支局長時代、ヒスパニック(中南米)系の人々が営む本格的なメキシコ料理店によく通ったが、それらにも引けをとらないうえ、日本人好みの繊細さも兼ね備えており、地元・京都でこのクオリティーのメキシコ料理と出会えるとは思わなかった。
最近は「メキシコ料理やて。昔、橋幸夫の歌にあったやん」と来店する中高年の女性も。いかにも新しいもの好きの京都人らしい…。(文:岡田敏一/撮影:志儀駒貴/SANKEI EXPRESS)
※価格はいずれも税込みです。