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鍵は「おいしく高品質」「お値打ち」 今年ブレーク必至 関西の2店
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一流シェフが材料と品質にこだわり抜いた食材で店内調理した高級総菜がずらりと並ぶ「GRAND_FOOD_HALL!」の店内=2014年12月15日、兵庫県芦屋市(南雲都さん撮影)
世はまさにグルメ時代。テレビを見れば必ずどこかで話題のお店紹介といったグルメ情報が流れており、本屋に行っても山積みされているのはアベノミクスに便乗した投資本かグルメ本ばかり…。というわけで新年の到来を機に、2015年、関西で大ブレーク必至のグルメ系のお店をご紹介したい。毎週日曜日の企画「京都うまいものめぐり」でご紹介している京都地域を除く関西で探してみたところ、共に昨秋以降にオープンし、既に多くの顧客が押し寄せる大人気のお店が2店あった。いずれも食材とサービスにこだわり抜く徹底した“顧客目線”が大人気の秘密だ。
最初にご紹介するのは、高級住宅街で知られる兵庫県芦屋市に昨年12月13日にオープンしたデリ(お総菜屋)「GRAND FOOD HALL!(グランドフードホール)」。一流ホテルなどで腕を振るった経験のあるベテランシェフが、顧客の注文を受けてから該当食材を目の前で調理するという日本初の「フードホール」形態のお店で、既に土・日には行列ができる人気ぶりだ。
食材の産地や使用調味料などの銘柄、そして調理担当者の顔が見える総菜店「フードホール」は欧米で既に高い人気を獲得しているが、これを初めて日本に持ち込んだ。
此上敦(このうえ・あつし)店長(45)によると、総菜は和食、洋食、中華の3種類で、京都、奈良、神戸西エリア、淡路島などのこだわり食材を使用。チーズの風味が広がる「キッシュ」(ワンカット税抜き492円)のほか、昨年は「とろけるタンシチュー」(300グラム税抜き2800円)などが人気を集めた。
総菜以外でも「奈良・陽光ファームのほうれん草」(1束税抜き250円)や完熟トマトだけで作った多田農園(北海道)のトマトジュース(税抜き1200円)などこだわりの生鮮食材や食品類がずらりと並ぶ。
総菜を顧客の目の前で調理するメーンシェフは計3人。南俊幸総料理長(53)は「採算度外視で高級な食材や調味料をふんだんに使い、とにかく安全でおいしい総菜の提供に努めています」と胸を張る。そのため価格は高めだが、おいしくて高品質な食材を求める層の高い支持を受けている。
そして大阪・心斎橋のホテル日航大阪の地下2階に昨年10月28日にオープンし、昨年12月の土・日には最大3時間半待ちの混雑ぶりを記録するなど、既に爆発的な人気を獲得しているのが、しゃぶしゃぶ食べ放題の「きんのぶた PREMIUM 心斎橋」だ。
関西で人気の「焼肉ダイニング ワンカルビ」などを手掛けるワン・ダイニング(大阪市西区)が2006年から関西で展開するしゃぶしゃぶ食べ放題店「きんのぶた」で、高級感を売りにした初の都心型店舗だ。
「和豚もちぶたしゃぶしゃぶ食べ放題コース」(税抜き3150円)がメーンだが、50代だと税抜き2830円になるなど年齢によって割引価格を設定。さらに「ごろごろ国産牛のビーフシチュー」や「濃厚ショコラジェラート」など、約30種類もの豪華な単品メニューも食べ放題(ただしデザートは1人1品まで)。
「食べ放題というと、顧客が“安かろう悪かろう”の食材を自分で取りに行くイメージが強いですが、うちは真逆。肉をはじめ、高級食材を店員がサーブします」と早川雄平店長(29)。「お客様からは『採算取れるんか?』『値段上げた方がええで』という驚きと心配の声をいただいています」と笑う。
両店に共通しているのは、採算を度外視し、舌の肥えた顧客を満足させるプレミアム感を創出したことだ。価格の高い安いが問題なのではなく、常に価格以上の満足感を顧客に与えることがこれからの飲食店には不可欠なようだ。(文:岡田敏一/撮影:フォトグラファー 南雲都/SANKEI EXPRESS)