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米西海岸で展開される「ジャパニーズマインド」 Pabu Izakaya、サマーウッドワイナリー&イン
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活気あふれる「Pabu_Izakaya」の店内=2014年9月12日、米カリフォルニア州サンフランシスコ(青木冨美子さん撮影)
SANKEI EXPRESSでコラム「ワインのこころ」を連載中のワインジャーナリスト、青木冨美子さんが9月7~14日にかけて米国・西海岸を訪れた。青木さんのガイドで、現地邦人の奮闘やおすすめのワインショップなど、旬の外食事情を紹介する。
サンフランシスコ(SF)のホットスポットは和食レストラン『Pabu Izakaya』、西海岸で五本の指に入るマイケル・ミナレストラングループが6月16日にグランドオープンした店舗だ。シェフはベイエリアで日本料理のオーソリティーとして知られる富永謙一氏。彼は1990年、カリフォルニアのソノマに和食店『Hana』をオープン、新鮮な食材と独創性に富んだ食のもてなしで高い評価を得ている。グループオーナーのマイケル氏との出会いもHanaだった。
『Pabu~』のワインリストを開くとその豊富な日本酒のアイテムに驚かされる。80種ほどの冷酒と約7種の熱燗(あつかん)。セレクトはシェフの信任あついマスター利き酒師スチュアート・モリス氏が担当。ワインは約50種で、14種ほどのグラスワインが楽しめる。5回の面接を経て採用されたというソムリエール/利き酒師、矢冨麻由香さんのサービスもスマートで、スタッフの笑顔も心地よい空間だ。
すしバーでは富永シェフ以下、8~9人のすしシェフがそろい、モダンな居酒屋風スタイルで和の世界をまとめている。この日は帆立のスパイシーロールや手巻きずし、おすすめの一品“(魚介の)Shabu Shabu”を注文。しゃぶしゃぶではヌードルに使われたタレ(ゴマだれとポン酢を併用)が不思議かつ素直な食感で心ひかれる印象だった。活気・熱気あふれる人気店なのでSF訪問予定があるなら予約はWebでお早めに!
ロサンゼルスとSFの中間地点にあるカリフォルニアのワイン産地パソ・ロブレス。映画『サイドウェイ』で注目されたセントラル・コーストのエリアである。『サマーウッドワイナリー&イン』は堺市で製造小売業を興し、今年50周年を迎えたエクセル・ヒューマン・グループ(EHG)、日本人の深江今朝夫CEOが所有するB&Bで、彼が長年抱いていた夢を実現させたものだ。ちなみにEHGは長野県安曇野市にも『EH酒造』を有し、日本酒の製造にも関わっている。
安倍晋三首相が唱える女性の登用ではないが、『サマーウッドワイナリー&イン』のスタッフは、深江CEOの秘書、萱間俊匡CFOとチリ人のワインメーカー、マウリッシオ・マーチャント氏以外は、テイスティングルーム、ワインクラブ、会計士などの責任者は女子で占められており、要となるレストランのエグゼクティブシェフも女性。パソ・ロブレス出身のケリー・ワンガードさんはセントラル・コーストの新鮮な食材にひかれ、コルドンブルーの姉妹校であるカリフォルニア料理アカデミーに入学、在学中から頭角を現し、卒業後は高評価のレストランで技術を習得。2010年からサマーウッドワイナリー&インのシェフとして活躍している。女性ならではの感性と素材のうまみを丁寧に表現した料理は魅力だ。訪問時、『料理の鉄人』のようなTV番組『Cutthroat Kitchen カットスロートキッチン』に出演し、その結果が10月26日の放送でわかるとの話が出ていたが、シェフとしての腕はもちろん、明るくてチャーミングな彼女の性格がカリスマ性をもたらせているようだ。(ワインジャーナリスト 青木冨美子/SANKEI EXPRESS)