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おせち ここを見比べ上手に選ぶ 三越銀座店の担当、内山修平さんに聞く

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おせち ここを見比べ上手に選ぶ 三越銀座店の担当、内山修平さんに聞く

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「馳走_●(=口へんに卒)啄」のおせち(三越銀座提供)  【食を楽しむ】

 年末商戦がいよいよ本格化するなか、百貨店のおせち売り場も人、人、人でにぎわっている。有名料亭とのコラボのほか、中華やフレンチの変わり種も。どれを買えばよいのか迷う人も多いのではないだろうか。三越銀座店のおせち担当、内山修平さん(29)におせち選びのポイントを聞いた。

 ろう見本、仕切り

 「ろうで作った見本があるかないかで、特徴が見分けられます」と内山さん。確かに見本があるものと、パンフレットだけのものがある。

 「見本があるおせちは何年もメニューが変わっていない定番モノということです」。こちらを選べば無難で失敗しない。一方で、「パネル上のみで紹介されたおせちは、その年に初めて出た可能性が高い」。毎年、趣向を変えたい人はこちらを選ぶといいわけだ。

 仕切りの有無で見分けるのもコツだという。「仕切りがないものは、非常に難易度が高い。これは職人技。工場で大量生産というわけには絶対にいかない」

 例えば、内山さん一押しの人気料亭「馳走 ●(=口へんに卒)啄」や「和久多」のおせち。「ほら、仕切りがほとんど入っていないでしょう」

 有名料亭はお得意さんのためにおせちを作るところが多い。内山さんはそうした店にせっせと足を運んで、三越向けに出してもらえないか、と日々交渉しているのだという。

 「『馳走 ●(=口へんに卒)啄』のおせちなどは、3、4人の職人さんが立ち仕事で作っています。本当に頭が下がる」と、内山さんは話す。

 老舗のお重、高くない

 おせちというと、値段が高いイメージがある。「いえ。赤字覚悟のお店がほとんどです。そこは職人さんの心意気ですから」

 三越で“新規”におせちを出すようになった店は、内山さんが長い時間をかけ信頼関係を醸成してやっと念願がかなったところが多い。

 「ある料理長さんは高校時代の部活の話をするうちに、私がインターハイに出場経験があることを知って一気に打ち解け、親密な関係を築けたこともありました」。それだけに愛着もひとしおだ。

 アクシデントに見舞われたことも。ある年、おせちを入れる外箱が届かなかったことがあった。「ある先輩に泣きついたら、先輩の代以前から懇意にしている日本橋のおせち専門の段ボールメーカーさんが、たった3時間で外箱を作ってくれたことがありました。全身が脱力する思いでした」。雨が降ろうと雪が降ろうと、こうしておせちは無事、各家庭に届けられる。

 中には「配送不可」のおせちもある。料亭サイドが「配送中に万一事故があったら」と、持ち帰り限定の条件で作ったものだという。

 内山さん一押しの「馳走 ●(=口へんに卒)啄」のおせちは残念ながらあっという間に売り切れてしまった。ただし、大みそか当日に10個限定(小型2段、2万1600円)で販売するという。ぜひご一考を。(三枝玄太郎/SANKEI EXPRESS

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