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大迫力の対局 普及・教育の最前線 将棋会館
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特別対局室で行われた名人戦予選。手前が森内俊之竜王(左)と久保利明九段、奥が谷川浩司九段(左)と木村一基八段=2014年11月13日、東京都渋谷区千駄ケ谷(原圭介撮影)
大人の趣味の代表格といえば、囲碁と将棋。11月17日が「将棋の日」って知ってましたか? 昔のイメージはお父さん同士がパチリ、パチリ。でも、いまやコンピューターとの対局やスマホ配信、レディース教室など将棋界は日々進化している。将棋界の最前線を探るため、日本将棋連盟本部の入る「将棋会館」(東京都渋谷区千駄ケ谷)を訪ねた。
13日午前9時半、会館4階の特別対局室。特別対局室は、大部屋と違って最高段位の棋士が対局する特別な部屋だ。将棋盤2つが置かれ、この日は名人戦順位戦の森内俊之竜王対久保利明九段、谷川浩司九段(連盟会長)対木村一基八段の対局が予定されていた。
10時からの対局開始まで30分もあるが、正座をして一人待っているのは木村八段。ほとんど何も話さず、時折、集中力を高めるように下を向いて目を閉じる。
木村八段といえば、テレビ解説で、機知とユーモアに富んだおしゃべりで知られるが、今日はまるで別人。斬るか斬られるかの果たし合いに臨む剣士のよう。
ほかの3人が10時直前に着座し、ピーンと張り詰めた空気はそのままに、対局が始まった。その様子を後ろで正座しながら見ていたのは埼玉県さいたま市の開智学園・中高一貫部4年(高校1年)の秋月嶺君だ。対局の様子に「迫力ありますね」。地域社会を学ぶ授業「首都圏フィールドワーク」でリポートを書くため将棋会館を訪れた。
対局見学に続く片上大輔理事(六段)への質問で秋月君は、真っ先にコンピューターと棋士の対局「電王戦」2、3回団体戦で棋士が負けたことについて聞いた。片上理事は「連盟には、『まさか負けるとは』と思った人もいるし、『やっぱりコンピューターはすごい』と思った人もいる。確かに、勝負の世界で結果は尊い。私自身は受け入れて、どう対策を考えるかだと思う」と答えていた。
対局は地下でも行われていた。衛星放送「囲碁・将棋チャンネル」銀河戦の収録だ。来年1月放送分とのことで、対局者名を書くと、誰が勝ち上がったか分かってしまうため紙面では明らかにできないが、スタジオの別室では、田村康介七段と斎田晴子(さいだ・はるこ)女流五段がテレビのモニターを見ながら解説していた。
対局はテレビだけでなく、インターネットでも発信する。別室では、連盟と契約した「中継記者」(9人)がリアルタイムでスマートフォン用に棋譜を送信していた。将棋会館はまさに、将棋の情報の発信基地だ。
15日の土曜日に再び訪れると、会館は「普及と教育の拠点」に一変していた。レディースセミナーでは、上村亘四段が6人を相手に対局。ある女性には「飛車や角はできるだけ、王様を詰ませるときに切る(相手に取らせる)」と、丁寧にアドバイスをしていた。
群馬県前橋市からやってきたという山野千草さん(47)は、「子供のころ覚えたのに、なかなかやる機会がなかった。老後への脳トレのつもりで始めた」と話した。
最後に1階の販売部(売店)をのぞいた。扇子の売れ行きは棋士の人気のバロメーター。羽生善治(はぶ・よしはる)四冠が歴史と権威のある名人位に返り咲いたので、「名人」と記された「三省(さんせい)」の扇子が売れている。また、棋士の写真が載ったカレンダー(税込み1700円)や、テレビ出演の多い加藤一二三(ひふみ)九段、桐谷広人(きりたに・ひろと)七段のタオル(税込み486円)も人気だという。(原圭介/SANKEI EXPRESS)