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自家製にこだわり イタリアン名店 リストランテ ストラーダ
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日本人向けにおせち料理の雰囲気を演出した「オードブルの盛り合わせ」=2014年12月4日、京都市中京区(志儀駒貴撮影)
京都市の中心部を東西に走るメーンストリート、御池通(おいけどおり)沿いで2006年4月から営業するイタリア料理店「リストランテ ストラーダ」。通りの斜め向かいには俵屋や柊屋といった老舗旅館が立ち並び、京都でいま最も注目を集めるエリアでその名を知られた名店だが、それもそのはず。実はオーナーシェフは映画出演の経験もある京都イタリアン界の重鎮で、著名な映画監督や人気スターらが京都での撮影の合間に頻繁に訪れるという地元では知る人ぞ知るすごいレストランなのだ…。
イタリアの街角を思わせる豪華でシックな石造りの外観が通りで一際存在感を発揮しているが、黒で統一したテーブルや椅子が整然と並ぶ店内もさりげなくおしゃれ。オープンテラスもあり、好天の休日のお昼はランチを楽しむ女性客でにぎわう。夏にはお店の外でジェラートの販売なども行っており、地元民だけでなく観光客にも親しまれている。
そんなお店のオーナーシェフ、福村賢一さん(67)は、関西で最初に和風スパゲティーを提供し、京都で最も早く本格イタリア料理のお店を始めた人物で知られ「弟子の弟子の弟子が京都でお店をオープンさせている」(福村さん)というこの道45年という京都イタリアン界の重鎮。
73年に修業先のイタリアから帰国し、新大宮にイタリア料理店「フクムラ」を開業したのを皮切りに、80年までに四条や河原町にも出店したが、2002年にお店の権利をすべて譲り、悠々自適の生活を送っていた。
ところが、御池通の整備に伴い、京都市などから通りのにぎわい演出のためイタリア料理店の出店を懇願され、市立御池中学などが入居する通り沿いの複合施設「京都御池創生館」の1階でこのレストランを開業することになったという。
そんなわけで、通りのにぎわいづくりの“拠点”を担うことになったこのレストランだが、最大の売りは「パスタ、野菜、香辛料、生サラミなど、すべてが自家製」(福村さん)ということ。昔、材料が簡単に手に入らなかったので、自家製で調達して以来、今に至っているとのことだが、そのこだわりが逸品を生み出す。
最初にいただいた「オードブルの盛り合わせも」スモークサーモンや海の幸の盛り合わせサラダ、鴨の薫製など、どれも素材の良さと自家製ならではの優しい味が印象的。日本人向けにおせち料理の雰囲気を演出した盛り付けも心憎い。
続く「ほうれん草と卵のパイ包み」は、イタリアでは復活祭でおなじみの料理だが、卵とほうれん草がこれほど合うとは初めて知った。
そして、チーズの王様パルミジャーノ・レッジャーノの塊(直径約50センチ、高さ25センチ、重さ約30キロ)の中央に作ったくぼみの中でゆでたての手打ち生麺を絡めるパスタは、パルミジャーノの芳醇さと濃厚さに衝撃を受けるおいしさ…。
その名の通り京都産の最高級黒毛和牛を使ったステーキ「京都黒毛和牛」も、脂が少ないもも肉が絶妙の食感とジューシーさを醸す。フルーツケーキをパイで包んだ焼き菓子「ファゴット」も上品で濃厚な絶品スイーツだ。
こうした味の確かさからいつしか、著名な映画監督や人気スターが訪れるように。その縁から福村さんは昨年12月公開の邦画「武士の献立」で、弟子の料理人を見守る“後見人役”として出演を果たし、存在感を発揮。また、このお店自体も人気ドラマ「赤かぶ検事奮戦記」シリーズの撮影で使われたこともあるという。
「将来は、海か山の近くでレストランをオープンさせたいですね。自家用ヘリコプターも欲しいなあ」と、映画デビューに続く大きな夢を持っている。(文:岡田敏一/撮影:志儀駒貴/SANKEI EXPRESS)