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コーヒーにも合う上品な和菓子 洗練された空間でぜいたくな時間 ZEN CAFE

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コーヒーにも合う上品な和菓子 洗練された空間でぜいたくな時間 ZEN CAFE

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吉野産の本葛を使用した「特製くずもち」と飲み物のセット(1500円)。国産のきなこと黒蜜も絶品=2014年11月27日、京都市東山区(恵守乾撮影)  【京都うまいものめぐり】

 世界でも屈指の観光地・京都には個性的なカフェが多い。中でも、祇園南側の路地にたたずむ「ZEN CAFE」は、くずきりで有名な京都の老舗和菓子屋「鍵善良房(かぎぜんよしふさ)」がプロデュースする新しいスタイルのカフェだ。モダンでシックな空間は“大人の隠れ家”と呼ぶにふさわしく、上品な和菓子とコーヒーの香りに包まれ、時間を忘れて過ごす人が続出している。

 とろ~ん、名物くずもち

 京阪「祇園四条」駅から徒歩3分。四条通りを少し南に入った路地にたたずむ瀟洒(しょうしゃ)な建物が「ZEN CAFE」だ。

 アンティークの家具や現代アートの絵画やオブジェがセンスよくしつらえられた店内には心地よいBGMが流れている。坪庭を望むカウンター席もいいが、“おひとり様”にはうれしい1人用のソファ席に腰掛け、名物の「特製くずもち」(800円)を待ちわびた。

 「まずは、何もつけずに。お好みできなこや黒蜜をかけてくださいね。3度楽しんでいただけます」とZEN CAFEスタッフの坂西小百合さん。ぷるんぷるんと揺れるくずもちをまずはそのまま1口。とろ~んとした食感とともに、ほんのりした甘みが口に広がる。

 「本店(鍵善良房)と同じ吉野産の本葛を使っています。くずきりとはまた違う味わいでしょう」。きなこをかけて1口、さらに黒蜜をかけて1口。香り高いきなこ、すっきりした甘さの黒蜜がくずもちを引き立て、絶妙のハーモニーを奏でる。

 異なる食感を楽しんで

 和菓子を気軽に楽しんでもらいたいと考え、カフェ業態の店にしたそうだ。伝統的な和菓子を供する「鍵善良房」は江戸時代創業で300年近く続く老舗。くずきりは「鍵善良房」の代名詞ともいえる名物で、今も人気が高い。その老舗店が本店の近くにカフェをオープンさせたのが2年前の11月。「和菓子がある時間をゆったり過ごしてほしい」という思いを持ち、古い建物をリノベートして、モダンにスタイリッシュに生まれ変わらせた。

 カフェで出す和菓子は「コーヒーや紅茶にも合うように仕上げている」という。「上生菓子」(600円)の栗のきんとんは、表面のふわふわとした繊細な細工によって口の中で雪のように溶け、中の刻んだ丹波栗がほどよい食感を生む。コーヒーはオリジナルブレンドだ。

 「季節のお菓子」(800円)は浮島と栗の蒸しようかんの一松で、しっとりしたカステラのような浮島とねっとりした蒸しようかんを交互に配し、栗の渋皮煮がごろりと入っている。異なる食感と上品な甘さに思わず顔もほころぶ。

 小腹を満たしたいなら、「フルーツサンド」(1200円)がおすすめ。フレッシュなイチジクと濃厚なクリームの相性が抜群だ。くずもち以外のメニューは季節ごとに変わるので、新メニューを楽しみに定期的に訪れる常連客も多いとか。1人席には本棚をしつらえ、デザイン本や写真集を眺めながらお茶を楽しめる。洗練された空間とお菓子で過ごす時間のなんとぜいたくなこと。幅広い客層に支持されているのもうなずける。

 見た目にも美しい和三盆、落雁

 カフェに隣接する「Kagizen Gift Shop」では干菓子を販売。見た目にも美しい和三盆や落雁(らくがん)が並ぶ。ここでしか購入できない干菓子もあり、お土産にもぴったりだ。

 昔のスタイルにこだわらず、新しいモノやコトにチャレンジしていきたい-。アンティークの調度品に若手作家の器や絵画を織り交ぜているのも、その思いからだという。

 心身ともに癒やされること請け合い。京都散策の合間にぜひ訪れてほしい。(文:杉山みどり/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS

 ■ZEN CAFE 京都市東山区 祇園町南側570の210。(電)075・533・8686。カフェ=午前11時~午後6時(LO5時30分)。隣接の「Kagizen Gift Shop」=午前10時~午後6時。定休日=毎週月曜日(祝祭日の場合は翌日)

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