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スペインを北から南まで 味の旅 エル・フォゴン
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美しく盛りつけられたハモンセラーノ(1人前510円から)。※価格はすべて税別です=2014年9月29日、京都市中京区(恵守乾撮影)
京都でもめっきり増えたスペイン料理店。最新技術を駆使したモードスパニッシュをはじめ、郷土料理をしっかり食べさせてくれる手軽なバルからレストランまでさまざまだ。京都市役所にほど近い「エル・フォゴン」は、100年前の町家を改装したバルとレストランを兼ね備えたスペイン料理店。北のカタルーニャ州から南のアンダルシア州まで、一つのお店でスペイン各地を旅したような料理を提供するお店だ。
スペイン語で「かまど」という意味の店名通り、スペインの炭火焼き料理をメーンとしている。
「スペインの炭火焼きはいたってシンプルなんです。自然の恵みそのままのおいしさを味わうため、表面はパリッと、中身はふんわり仕上げているため、うまみを逃さないんですよ」と料理長の林田洋樹さんは言う。
例えば「牛リブロース炭火焼き」は300グラムという大きさに驚かされるメーンにふさわしい一品だ。豪州産の赤身肉を使い、炭火で表面をかりっと焼き上げたあと、じっくり中まで火を通す。
味付けは塩、コショウのみ。仕上げにはスペイン屈指の高級エキストラバージンオイル「ダウロ」を振りかける。実はこのオリーブオイル、ノーベル賞の受賞ディナーの席で10年以上も採用されているというから、世界最高と言っていい。
赤身肉は硬いのでは、という固定観念はナイフを入れたとたん覆された。驚くほどさっくり切れる。大きなかたまり肉を一口頬張れば、ジュワッと肉汁があふれ出る。やわらかさが持ち味のサシが入った霜降り肉とは対極。赤身のうまみが存分に味わえ、赤ワインが進むこと請け合いだ。
炭火焼きがメーンの店ではあるが、オーナーの実家が寿司屋ということもあり、卸売市場で仕入れた新鮮な魚貝も得意としている。
そこで頼みたくなるのが「海の幸のパエリア」。スペイン料理店に行けば、必ず多くの人がオーダーするメニューだろう。熱々の鉄鍋にアルミの蓋がかぶせられ、席に運ばれるまで中身は全く見えない。サーブ担当の人が蓋をさっと取れば、大きなパエリア鍋に大粒のムール貝にアサリ、アンコウ、海老といった豪華な海の幸が目に飛び込む。魚介のうまみがコメの一粒一粒にしみこみ、何とも幸せな気分になる。
「料理はもちろん、お客様を飽きさせないちょっとした驚きやパフォーマンスにも工夫を凝らしています」と副料理長の横川剛貴さん。
横川さんは生ハムのグラム数を目分量で正確に量るほか、薄く切ったり美しく盛りつけたりする技術を競う、「アンダルシア産イベリコハム公式コルタドール」のコンテストで全国第2位というキャリアの持ち主。
そんな横川さんが切るハモンセラーノは脂身と赤身が美しく皿を飾り、まるで花のようにも見える。目でめでてから口に含めば、さっぱりした生ハムの味わいが口いっぱいに広がる。
1階のバルカウンターに座り、忙しく立ち働くスタッフを眺めながら、料理やワイン、シェリー酒などについて語り合うこともできる。また、グループやしっとりと食事を楽しみたい人にはテーブル席をしつらえた2階がお薦め。
海外の京都観光ガイドブックに掲載されたこともあり、外国人観光客も増えたという。昔ながら京町家の外観にスペインのモザイクタイルが貼られた店内。料理とともに、スペインを旅する気分にさせてくれる。(文:木村郁子/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS)