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くずし割烹 驚きの組み合わせと価格 枝魯枝魯

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くずし割烹 驚きの組み合わせと価格 枝魯枝魯

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アジのつくりはサザエの肝の濃厚なしょうゆで味わう=2014年7月31日、京都市下京区(恵守乾撮影)  【京都うまいものめぐり】

 京料理をベースにし、和食の技法と伝統にとらわれない「くずし割烹」。その“旗手”とされる枝國栄一さん(40)が「2人で行って、食べて飲んでも1万円以内で楽しめる」をコンセプトに開いた店が「枝魯枝魯(ぎろぎろ)」。意外な食材の組み合わせが驚きと感動を呼び、一度訪れればファンになること請け合いだ。

 五条通りを高瀬川沿いにすこし北上する。川沿いに目をやると大きな桜の木が等間隔で植えられている。春は満開に咲き誇り、いかにも京都らしい風情を醸し出すそんなロケーションに「枝魯枝魯」は店を構える。

 「桃の池」に沈むしめ鯖

 早速、自慢のメニューをいただいた。まずは黄色い高坏(たかつき)のような器で登場する先付は「桃のすり流しとしめ鯖(さば)」。

 ミキサーにかけた桃ジュースを酢と薄口しょうゆで味付けし、その“桃の池”に厚さ5ミリの短冊状のしめ鯖が沈んでいるという意表を突くメニュー。「鯖は果実と相性がいい」(枝國さん)という通りさっぱりとした食後感だ。

 前菜7種盛りは赤いホオヅキに包まれたイカの塩辛、ウニ豆腐、南蛮漬けにしたゴーヤの揚げしんじょう、きんぴら状にした和牛のだし巻き、イチジクの揚げ物と黒もろみ…と、季節感を表す凝った料理の数々は決して飽きさせない。さながら味覚の玉手箱だ。

 泳いでいるような鮎そうめん

 アジのつくりは、サザエの肝を裏ごしし混ぜ合わせたしょうゆで頂く。粘りとコクのある特製しょうゆが脂の乗ったアジの身にまとわりつき、通常の刺し身しょうゆとはひと味違って、うまみをグレードアップしてくれる。

 涼しげなガラス容器で運ばれる「鮎(あゆ)そうめん」は、見た目に全長10センチの若鮎がそうめんの川を泳いでいるようだ。

 「うるか」と呼ばれる鮎の卵を使った塩辛が載せられた焼き魚にスダチをしぼり、頭からがぶりと口にすると、うるかの塩味がアクセントを添えてくれる。

 鱧とトウモロコシの炊き込み

 椀ものも手が込んでいる。鱸(すずき)を約50分間しょうゆとみりんに漬け込み、皮に焼き目をつけた幽庵焼きと梅豆腐、シイタケ、ジュンサイが、トマトのすまし汁に浮かぶ。トマトの酸味がさっぱりとした味わいだ。

 鴨ロースと焼きナスには水菜と九条ネギも添えられ、京都らしい献立。焦げ目のついたナスと鴨肉を一緒に口に含むと、ナスの甘みが広がって鴨肉のおいしさを引き立てる。

 締めの炊き込みご飯には、照り焼きにした鱧(はも)とトウモロコシがふんだんに混ぜ込まれ、珍しい味覚が楽しめる。一緒に提供される止め椀も鱧のだしで、コースの締めくくりは鱧づくしでもある。

 和洋混載おしゃれデザート

 そして、デザートは、一口サイズのスイカのラム酒浸けとブルーチーズ、小豆の春巻きに抹茶アイスと和洋混載。枝國さんがフランスで買ったというしゃれた器に盛られており、ここにもこだわりが感じられる。

 これだけ堪能させてもらって4000円でお釣りが来る“お手軽割烹”は地元の京都人だけでなく、観光客の間でも評判を呼んでいるという。

 奇数月は京都、偶数月はパリやホノルルの系列店へ…と世界中を飛び回る枝國さんに代わって、8月のメニューは料理長、奥田将太さん(27)が考案。

 1年間パリで修業したという奥田さんは「世界の食材をうまく組み合わせて新しい感覚の料理を提案したい」と意欲的だ。(文:巽尚之/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS

 ■枝魯枝魯 京都市下京区西木屋町通り松原下ル難波町420の7、(電)075・343・7070。営業時間は午後5時30分~11時。不定休。コース料理のみで3780円(税込み)。ワインや日本酒は1杯800円程度で「2人で食べて飲んでも1万円程度」をモットーにする。京都以外にも東京・神楽坂、ホノルル、パリにも店舗がある。

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