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ボリュームたっぷり 心もゆったり ルナールブルー
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カナダ産オマール海老の半身を使ったポワレ。濃厚なバターソースが味を引き立てる=2014年5月21日、京都市中京区(恵守乾撮影)
家庭的な雰囲気のフランス料理レストラン「ルナールブルー」。鴨肉と豚肉を組み合わせたテリーヌ、2層になった赤ピーマンのムース…と工夫を凝らした前菜はその種類も多く、彩り豊かに盛りつけられたディッシュは食欲をそそる。それ以外にもお薦めのメニューがずらりと並ぶ店内の黒板は注文をする前に一見の価値ありだ。一皿一皿のボリュームもたっぷりで空腹感を満たしてくれること請け合い。ホッと一息のつける落ち着いた美食空間だ。
ランチのコースで提供される前菜の盛り合わせは、涼しげなガラスの容器に載って登場。赤ピーマンのムースはトマトのソースと2層構造になっており、スプーンですくい取って味わうとクリーミーだ。
長崎県産の鰹(かつお)を軽く炙(あぶ)ったカルパッチョは「提供する直前に焼く」(谷口直志シェフ)というだけに、焦げ目が香ばしい。豚肉はフォアグラと合わせてテリーヌ状に調理されている。
薬味に英国産の塩、黒コショウ、ピクルスやアサツキが添えられ、お好みで味覚を調節できる。サラダにはイタリア原産の赤い野菜、トレビスやサニーレタス、水菜などが使われ“新食感”が楽しめる。
一方、ディナーコースの前菜は、看板メニューの「ビュルゴー家の鴨肉を使ったテリーヌ」。フランス産鴨肉と、ミンチにした豚肉を高温で1時間、低温で2時間焼くというほど手をかけた逸品。一緒に口に含むとさながら肉の“二重奏”だ。
「穴子の炙りサラダ仕立て」は、瀬戸内海でとれる伝助穴子を鱧(はも)のように骨切りして皮も身も炙り、トマトや香草のディル、赤い葉野菜のトレビス、アサツキなどと一緒に提供される。
もっちりと弾力のある穴子に粉状の黄色いカラスミをまぶすと塩気が増し味わい深い。酸味のあるバルサミコソースに絡めると、また別の奥深い味わいが楽しめる。
「オマール海老のポワレ」は全長二十数センチのカナダ産の海老の半身を使ったメニュー。海老の出汁をベースにしたアメリケーヌソースとバターソースがたっぷりとかけられた濃厚な一品。身が詰まったツメの部分は食べやすいように殻がむかれているのがうれしい。
ちょっぴり苦みのあるみそには磯の風味が感じられ、つけ合わせのパスタ、フェットチーネはソースとの相性もよい。
ブイヤベースは1人前でも注文OK。魚とオマール海老の出汁にトマト、サフラン、ニンニクなどを入れて煮たスープは飲み干してしまいたくなるほどに美味。具のスズキやホタテ貝、ジャガイモ、インゲンなどが約15分煮込まれている。
デザートの「マンゴーのパフェ」は、マンゴー果肉のほかシャーベット、プリンなどを組み合わせたスイーツ。コリコリとしたナタデココやクッキーが食感にバリエーションを楽しませてくれる。
ワインもフランス産を中心に30~40種類を取りそろえ、価格も4000円からと比較的リーズナブル。また、子供連れの顧客にも対応できるよう、半個室も設けている。壁面には版画が飾られ、アットホームな空気が流れる。
2007年10月にオープン。店名(青いキツネの意)は童話好きな谷口シェフの妻、麻子さんが児童文学作家、新美南吉(にいみ・なんきち=1913~43年)氏の作品で、子ギツネが人間の街に手袋を買いに行く「手袋を買いに」から着想を得て命名した。
名古屋から車を飛ばして日帰りで訪れるお客さんもいるそうで、谷口シェフは「料理とサービスの質を高め、心地よく過ごしてもらえる店作りに努めたい」と話している。(文:巽尚之/撮影:恵守乾/SANKEI EXPRESS)