SankeiBiz for mobile

「作り手の心が第一」 引き継がれる味と思い フランソア喫茶室

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのトレンド

「作り手の心が第一」 引き継がれる味と思い フランソア喫茶室

更新

さっぱり感漂う「レアチーズケーキ」。暑さ対策にどうぞ=2014年7月22日、京都市下京区(柿平博文撮影)  【京都うまいものめぐり】

 京都随一の繁華街、四条河原町の近くを流れる高瀬川沿いにあるフランソア喫茶室。あこがれて京都に住み、京都検定1級合格記者として京都での仕事が多いため、取材後、大阪の会社に向かう前のリラックスタイムとしてしばしば立ち寄る。誰にでも行きつけというものがあるだろうが、この店は筆者にとってはそのひとつである。クラシック音楽の流れる店内でいただく手作りスイーツとアメリカンコーヒー。これが定番になっている。

 濃さ調節は豆の配合のみ

 西木屋町通を四条通からやや南へ下がった高瀬川沿いに立ち並ぶ店舗の中でも、築80年という国の登録有形文化財にも指定される白い洋館風の建物はやはり際立つ。

 こぢんまりしたドアを開けて中に入る。初めての人は店内の暗さに戸惑いもするかもしれないが、すぐにヨーロッパの宮殿に入ったような雰囲気に心を奪われる。

 豪華客船のホールをイメージしたドーム状の天井やステンドグラス、さらには赤いビロードの椅子など、イタリアンバロック様式に彩られた店内で静かに味わうコーヒーは格別なものがある。

 フランソア喫茶室というとフレッシュクリーム入りが基本だが、私はいつも「アメリカンブラック、砂糖なし」とオーダーする。

 全般的に苦みが柔らかく、濃い目が苦手な人でも十分に楽しめるのだが、水ではなく豆の配合のみで濃さを調整しているため、豆と水が本来持つ甘みをどこよりもじっくりと味わえる。

 そして、コーヒーのお供となる菓子はというと-。

 レモンの酸味で暑さ対策

 約30年前に洋菓子作りを学んだ現在の経営者、立野隼夫さんが、神戸・北野異人館と兵庫・芦屋に菓子店を出して、好評を得た経験をもとに作り出したケーキやクッキーなどは約20種にも及ぶ。

 神戸、芦屋の店は惜しくも震災の影響で閉店したが、18年前からこの喫茶室に置いている洋菓子部にその味は引き継がれている。「菓子は外見よりも中身。作り手の心が第一」と話す立野さん。

 その考えを最もわかりやすく表現した菓子が「ガトーフランソア」だろう。「メイプル」と「ハニー」の2種があるが、ここは「メイプル」を。

 パウンドケーキのようにしっかりした生地で、フォークでカットするのに少し力もいるほどだが、素材の良さからくる深い甘味に、つい心も和む。

 柔らかい甘さなら「洋なしのババロア」も。フランスでは女性の帽子に見立てて、「シャルロット・ポワール」と呼ばれるデザート菓子。

 薄く切られた洋なしが花びらのように並んだ丸ごとの美しさはまさに名前通りで、カスタードと洋なしの相性も抜群な味も含め“脱帽”ものの逸品である。

 また、暑い京都の夏にマッチしている「レモンパイ」と「レアチーズケーキ」は酸味がポイントになっている。

 レモンの酸味が利いたレモンカードとふんわりとした甘さのメレンゲが一体となった、ちょっぴり濃厚な「レモンパイ」に対し、チーズとレモン、生クリームというコラボレーションが爽やかな味を生んだ「レアチーズケーキ」。

 あとはお好み次第ということだろう。こんなときのいつものアメリカンコーヒーのブラックもいいが、ちょっと趣向を変えて、洋なしの「ラ・フランスジュース」を頼み、よりさっぱりした夏らしさを味わうのもいいかもしれない。(文:園田和洋/撮影:柿平博文/SANKEI EXPRESS

 ■フランソア喫茶室 京都市下京区西木屋町通四条下ル船頭町184。(電)075・351・4042。コーヒー、ティーなどのドリンクは580円から、ケーキは370円から。営業時間は午前10時~午後11時(ラストオーダーはサンドイッチ、トースト類は午後10時、ドリンク、ケーキ類は午後10時40分)。休日は12月31日と元日、夏期休暇(2日間)。

ランキング