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料理の枠越え 「食べるアート」世界へ ザ・リッツ・カールトン京都 水暉
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焼八寸は、この器だと和食だが、器を変えればフレンチとしても通用する。柔軟な発想から生まれた世界にアピールする和食だ。ちなみに料理に使う器類には、三浦雅彦料理長が選んだものも=2014年8月11日、京都市中京区(恵守乾撮影)
≪こだわりに自主規制なし≫
鴨川を臨み、東山三十六峰を一望できる京都随一のロケーションと優れたもてなしで、今年2月の開業以来、ぐんぐん存在感を高めている最高級ホテル、ザ・リッツ・カールトン京都。その地下1階にある日本料理店「水暉(みずき)」では、会席料理とおすし、天ぷら、鉄板ダイニングの4種類が楽しめるが、どのメニューも和食や京料理といった概念を軽やかに超越し、世界に向けた真のオリジナリティーを追求する逸品ぞろい。「“食べるアート”をご提供し、世界に向けてメッセージを発信したい」と意気込む。
和食や京料理という概念にとらわれず、世界に門戸を開くという姿勢は店内を一瞥(いちべつ)しただけで分かる。
天井などを彩る和傘をモチーフにした照明は、京都市の和傘製造販売の老舗で、海外でも評価の高い日吉屋の製品。また欄間には富山県の伝統工芸で釘を使わず木を組み付ける繊細な「組子」を採用するなど、さりげない日本の美が世界中から訪れる人々を魅了する。そんな洗練された異空間で提供される逸品も想像以上のものだった。
まずは「焼八寸」。「伊佐木塩焼 酢取り蓮根」や「無花果の味噌田楽 天使の海老紫蘇巻揚げ」「夏鴨ロースワイン蒸し ズッキーニ」など全5品をいただくが、素材の上品な自己主張ぶりはさすが。和食の極みと思いきや、三浦雅彦料理長は「これ、盛りつける器を変えたらフレンチなんですよ」と驚きの種明かし。何とフレンチの発想で作り上げた和食だったのだ。
さらに「御椀」の「利尻昆布をふんだんに使ったスープ 昆布出汁(だし)仕立て」では、北海道の利尻昆布の中でも最高級品で知られる礼文の香深(かふか)の1年物を使用。「鰹節を使う代わりにこれを通常の2倍使っているんです」(三浦料理長)。
最初に出汁だけをいただいたが、深遠で滋味深い味わいに衝撃を受けた。「いま、仏でも昆布の出汁を使うシェフが増えている」(三浦料理長)のもうなずける。御椀はこの出汁でできた「スープ」を鱧(はも)の葛打(葛粉をまぶし、火を入れること)や揚茄子などともに味わえる極上のひと品。
そして「造里」は氷で作った器に盛られて登場する。「禅寺の枯山水をイメージしました。お造里を食べ終わると、氷の器が蓬莱山になり、白砂を敷き詰めた庭になるんです」と三浦料理長。鱸(スズキ)、鰹(カツオ)、寒八に「彩り野菜のクリュディテ 山利の諸味噌」が。
こだわりの南米パタゴニアの天然湖塩で味わう厳選し尽くした野菜本来のうま味に驚かされるが、造りの方も素材はもちろん、長野県安曇野市の有賀農園産のわさびは未知のおいしさ。
食材などへのこだわりに自主規制はない。輪島塗で継ぎ目がない長さ11メートルのカウンターでいただくおすしも、赤酢をベースに特別にブレンドした酢を使ったり、蓮根で出来たガリを提供したりと常に挑戦的。赤肉のメロンとアイスが涼しげなデザートの「フレシュール ドゥ メロン エ フランボワーズ」はこのホテルでしか味わえない仏ピエール・エルメ・パリの特別製だ。
現京都ホテルオークラや六本木ヒルズクラブや二期倶楽部広尾などで京料理やフレンチの腕を磨いた三浦料理長は「食と芸術はつながっています。シェフはアーティストでなければいけません」と胸を張る。(文:岡田敏一/撮影:恵守乾(えもり・かん)/SANKEI EXPRESS)
※価格はすべて税・サービス料別です。