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和の技が織りなすポップな布地 SOU・SOU
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ポップでカラフルな袋物がずらりと並ぶ1階の「SOU・SOU_布袋」の店内=2015年2月13日、京都市中京区(志儀駒貴撮影)
ポップでかわいい京都市生まれの国産地下足袋(じかたび)ブランド「SOU・SOU(ソウソウ)」。3月で創業12周年を迎える世界で唯一の国産ブランドだが、いまでは袋物や手ぬぐい、和服などを扱う店舗が京都市内に9店、東京・青山に1店と、扱う商品も多彩に。というわけで、多彩な商品群の中でも、若者に人気の袋物を扱う「布袋(ほてい)」と、オリジナルのテキスタイル(布地・織物)を販売する「染めおり」の店舗をのぞいてみた。
四条河原町から少し北に入った“裏寺町”には「SOU・SOU」の計9店舗が入居する古風かつおしゃれな建物6棟が通り沿いにずらりと並び、一帯はいつも多くの女性でにぎわっている。
布袋と染めおりの店舗が入る建物は6つの建物のほぼ中央にあり、1階が布袋、2階が染めおりのスペースだが、まず1階に足を踏み入れると、端正な和心を感じさせるポップでカラフルな風呂敷や肩掛けかばん、巾着、がま口などが壁一面に整然と展示されており、女子なら明るく楽しい雰囲気の店内を眺めているだけで気持ちがアガるというものだ。
橋本真紀・企画室長によると、SOU・SOUは京都市内で海外のストリート系の衣料品を扱うセレクトショップを展開していた若林剛之(たけし)代表が、日本のものづくりの継承を決意するなか、機能性やデザイン性に優れながら存在感が地味だった地下足袋に着目。
2002年、代表とテキスタイルデザイナーの脇阪克二さん、建築家の辻村久信さんの京都出身者3人が地元でスタートさせ、ポップ感覚とおしゃれ感覚を付与した地下足袋の大ヒットを追い風に、風呂敷、手ぬぐいと扱う商品の幅を広げ、今に至っているという。
そして、作業用の地下足袋を京都の女子なら誰でも知っているおしゃれな履き物に変身させた“機能性とデザイン性の高さ”というコンセプトは、どの商品にも脈々と息づいている。
例えば、一見、和風のショルダーバッグと言った感じの小巾折(こはばおり)というシンプルなつくりの袋物は、橋本さん曰く「35センチ幅の反物の生地を折り畳んで縫い合わせた」もので「生地の耳もそのまま使っている」という。
その生地も、江戸時代から250年以上続く伝統の布「伊勢木綿」。撚(よ)りの弱い糸を使用することで、洗っていくうちに糸が綿に戻ろうとしてどんどん生地が柔らかくなり、吸水性や速乾性が高まるという優れた布。「100年以上の前の豊田式織機を使っている」(橋本さん)という臼井織布(三重県津市)製だが、現在、伊勢木綿を製造できるのはこの業者だけという。
そして2階の「染めおり」のスペースも、さまざまな色をベースに花柄や水玉、しま模様を配したポップでカラフルなテキスタイルの巻き物が壁一面に整然と並ぶ。こちらも生地は伊勢木綿で、肌触りや吸水性に優れているうえ、深みのある色合いが出せる「手捺染(てなっせん)」という手法を用いている。京都の職人が手作業で丁寧に織っている。
買っていくのは20~60代と幅広いが、自分用や子供、孫用に衣服やかばん、座布団などを作るために購入する人が多いという。
和洋折衷という言葉がこれほど似合う商品群も珍しい。がま口や巾着は京都に押し寄せる海外からの観光客にもお土産として大人気という。ユニークなブランド名は「そうそう」という相づちの意。日本的和合の精神の大切さを説いている。
橋本さんは「デザイン性の高い商品を、高価なアートとしてではなく適正価格で販売するのがモットー。日常のあらゆる場面で楽しく使っていただければ」と話している。(文:岡田敏一/撮影:志儀駒貴/SANKEI EXPRESS)
※価格はすべて税別です。