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【大相撲】「精いっぱいやった」40歳旭天鵬、土俵に別れ
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花束に囲まれて笑顔を見せる元関脇の旭天鵬(きょくてんほう)=2015年7月27日、愛知県名古屋市中村区の友綱部屋宿舎(共同) 大相撲のモンゴル出身力士の先駆者で、史上1位の幕内1470回出場を記録した元関脇の旭天鵬(きょくてんほう、40)=本名・太田勝、友綱部屋=が27日、現役引退を表明し、年寄「大島」を襲名した。26日千秋楽の名古屋場所で大きく負け越し、幕内からの転落が確実となった。通算戦績は140場所で927勝944敗22休。
1992年の春場所にモンゴル1期生として、旭鷲山(きょくしゅうざん)らとともに史上初のモンゴル人力士として初土俵を踏んだ。99年初場所に朝青龍がデビュー。2001年には日馬富士(はるまふじ)、白鵬、鶴竜(かくりゅう)と現在の3横綱が入門した。
朝青龍(あさしょうりゅう)から4代続けて横綱を輩出し、モンゴル出身者で優勝を3年以上も独占中。この時代にあって、旭天鵬のパイオニアとしての功績は計り知れない。
鶴竜は「力士になるきっかけをつくってくれた人。いなかったら自分は相撲も知らなかったし、おかげで今の自分がある」と感謝した。
12年夏場所では史上最年長初優勝も果たした。「40歳までやれるとは思わなかった。精いっぱいやった」と充実感を漂わせた。40歳まで幕内を務め続けられた裏には、自他ともに認める「稽古場好き」がある。
「朝、まわしを着けて汗を流す。あの雰囲気が大好きなんだよ」と笑う。朝方まで酒を飲むのは当たり前。それでも午前8時半には何食わぬ顔で四股を踏む。部屋の稽古が終わるまで2、3時間絶えず体を動かす。26歳の弟弟子、旭秀鵬(きょくしゅうほう)は「酒も稽古も付いていけないよ。化け物だね」とあきれるほどだ。
現役140場所で、休場はホームシックで“脱走”した新弟子時代の1992年秋場所と禁止されている自動車運転で事故を起こして出場停止となった2007年夏場所だけ。
旭天鵬をスカウトし、育て上げた先代大島親方(元大関旭国)の太田武雄氏(68)は思い出に、モンゴルに帰国した旭天鵬を連れ戻した一件を挙げ、「髪の毛を切っておらず『まだやる気はあるのか』と聞くと『あります』。でも、日本行きの飛行機になかなか乗ろうとせず、1時間以上も出発を遅らせてしまった」と懐かしんでいた。(SANKEI EXPRESS)
通算出場回数 1871回は大潮の1891回に次いで史上2位。
幕内在位場所数 99場所は魁皇の107場所に次いで史上2位。
幕内出場回数 ?1470回は史上1位。
最年長初優勝 37歳8カ月の2012年夏場所で達成。初土俵から所要86場所、新入幕から121場所で、個人優勝制度が制定された1909年以降で最も遅い記録。
40代幕内力士 14年秋場所で達成。54年秋場所の名寄岩以来で、年6場所制となった58年以降では初めて。