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新人賞を受賞する小説 町田康

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新人賞を受賞する小説 町田康

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 多くの人が抱く疑念

 したところこんだ、それまで笑顔を浮かべていたその女性が急に無表情になって私の側から離れていった。

 なぜ女性は私から離れていったのだろうか。私に人間的な魅力がなかったのだろうか。否否否。断じて否。そうではなく女性は新人賞の公平を信じられなかったのである。

 どういうことかというと、新人賞などというもの、ンなもなア、情実で決まるのだろうし、真に新しいものは拒否るだろうし、それよりなりより私の如き一風変わった才能はそんな当たり前のルートでは評価不能に決まってるのよ、ルルルル。東海道を疾駆しようかしら、ということで一言で言うと、そんなものに応募しても駄目にきまってますのどす、ということである。

 というとその美しい女性がとりわけ傲慢なように聞こえるが、実はそんなことはなくて、多くの人がその疑念を抱いているからこそ、読み狂人のような者にさえ。冒頭に申し上げたようなことをたねる(尋ねるという意味だっせ)人が時折、現れるのである。

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  • 「デビュー作を書くための超『小説』教室」(高橋源一郎著/河出書房新社、1512年、提供写真)

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