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エンブレム「似ている」「問題ない」 デザイナーVS組織委 東京五輪新たな火種

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エンブレム「似ている」「問題ない」 デザイナーVS組織委 東京五輪新たな火種

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大会組織委と東京都が発表した東京五輪のエンブレム前で記念撮影する関係者ら=2015年7月24日午後、東京都新宿区(古厩正樹撮影)  2020年の東京五輪エンブレムについて、ベルギー東部リエージュ在住のデザイナー、オリビエ・ドビさん(52)が、自身がデザインしたリエージュ劇場のロゴと「驚くほど似ている」と交流サイトのフェイスブックや短文投稿サイトのツイッターに投稿した。さらに、スペインのデザイン事務所の作品とも形や色が似ているとしてインターネット上で話題になっている。

 ドビさんは29日、取材に「盗用されたのか、着想を与えたのかは判断できない」とした上で「弁護士と対応を協議している」と述べた。週内をめどに対応を決めたいとしている。大会組織委と東京都が大会のシンボルマークとして24日に発表した後、ドビさんに友人から「似ている」とメールが来た。今週になってリエージュ劇場から「対策を講じるべきだ」と連絡があったという。

 エンブレムと似ているとされるスペインの作品は、デザイン事務所「Hey」が作成した「rebuild japan」(日本再建)という作品。東日本大震災の復興支援を目的にスマートフォンの壁紙用として作成された。ネット上では、日の丸のような赤い円と、黒と金色の色を使っている点がよく似ていると騒がれている。

 東京都の舛添(ますぞえ)要一知事は30日、都庁で取材に応じた。劇場ロゴとの類似性の指摘について「問題ない」とする見解を示した。その上で舛添知事は「デザインはいろんなものが世界中にある。似ているといえば似ているし、そういう感じのものがいくつもあるのかな」と述べた。

 一方、東京五輪のエンブレムを手掛けた佐野研二郎さん(42)のデザイン事務所は、産経新聞の取材に「大会組織委に聞いてほしい。何もコメントできない」としている。

 2020年東京五輪公式エンブレムがベルギーの劇場のロゴと酷似している問題で、東京五輪組織委員会の高谷正哲(たかや・まさのり)・戦略広報課長は30日、クアラルンプールで「国内外の商標調査を経て発表しているので、特に問題はないと考えている」とする組織委の見解を明らかにした。

 高谷氏によると、すでに国際オリンピック委員会(IOC)の広報部門とも連絡を取り、組織委と同様の見解であることを確認。30日は取材対応を避けた組織委の森喜朗会長ら幹部も、同じ認識を共有しているという。現在、商標登録を申請中で、エンブレムを使用したグッズ製作も予定通りに進める方針だ。

 海外出張中のエンブレムのデザイナー、佐野研二郎氏とも連絡は取っているという。デザインが酷似した原因について、高谷氏は「ちゃんと本人から伝えてもらう形にしたい」と言及を避けた。佐野氏が帰国後、早い段階で、記者会見や談話発表などの形で釈明する予定だ。(川越一(はじめ)/SANKEI EXPRESS

 ≪リオでも「盗作疑惑」騒動≫

 五輪エンブレムをめぐっては、来年開催のリオデジャネイロ五輪でも、公表後に似たデザインが見つかり、「盗作疑惑」が浮上したことがある。

 リオ五輪のエンブレムは2010年12月に公表。ブラジル国旗の青、緑、黄の3色に彩られた3人が手をつないで踊る姿を模したデザインで、139件の候補の中から選ばれた。ところが、公表の数時間後には「似ている作品がある」とブラジルのメディアが相次ぎ報道し、盗作疑惑が浮上した。

 似ていると指摘されたのは、米コロラド州の慈善団体「テルライド財団」のロゴで、赤色を加えた4人が手を取りながら踊るデザイン。エンブレム制作者は「偶然だ」と釈明し、IOCなども対応に追われた。

 国際商標に詳しい弁理士で、東京理科大講師も務める宮永栄氏は「東京のエンブレムは、丸や四角を組み合わせたシンプルな図案で、似たものが出てくるのはある意味仕方がない」と指摘する。

 エンブレムをデザインしたアートディレクターの佐野研二郎さんは24日の会見で「シンプルだけど、単純ではなく、いろいろな意味が入っているシンプルさがいいと思った」と述べており、こうしたコンセプトが“裏目”に出た格好だ。

 宮永氏や特許庁によると、国際商標はスイスに本部を置く「世界知的所有権機関」(WIPO)が管理している。書類審査を通じて国際登録された後には、WIPOが指定された94カ国・地域に商標を保護するよう通報。各国が国内の商標登録の状況を調べた上で、異議があれば「拒絶」という手続きを取ることができる。拒絶が認められれば、その国では知的財産権は保護されない。

 宮永氏は「世界的なイベントである以上、一カ国でも拒絶が出るのはダメージだ。組織委は和解か、取り下げかの選択を迫られることになるだろう」と指摘した。

 さらに「盗作の疑念が残れば、スポンサーにとっても痛手だ。法的な問題をすみやかにクリアにする必要がある」と述べた。(SANKEI EXPRESS

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