【佐藤優の地球を斬る】「北方領土で譲歩なし」読めぬ日本
更新「返還せず」姿勢鮮明
トルトネフ副首相の択捉島上陸は、近未来に行われるメドベージェフ首相の北方領土訪問の露払いということにとどまらず、2つの重要な意味がある。
第1は、トルトネフ副首相が「全ロシア青年教育フォーラム」の会合に出席するために択捉島を訪れたことだ。ロシア政府は、このフォーラムをクリミアと北方領土で行うことによって、「一度、われわれが併合した領土を他国に引き渡すことはない」という姿勢を鮮明にしている。ロシアが真面目に北方領土交渉を行うこと考えているならば、択捉島でこのような挑発的行事を行うことはない。ましてや副首相を出席させることもない。メドベージェフ首相は再度、北方領土を日本に返還するつもりはないという強力なシグナルを日本に向けて送っている。

