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海外情勢
「反日」と「日本好き」の矛盾 商魂たくましい中国ネット販売の実態
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中国のインターネット販売サイトで「反日グッズ」が人気を呼んでいる。「釣魚島是中国的!」など、中国政府による沖縄県・尖閣諸島の領有主張や中国国旗をデザインした長袖シャツ24元(1元は約12.7円)や帽子が8元。やはり領有主張を記した大型の風船は1元だ。
日用品(?)もある。「日本を釣魚島から追い出せ!」と記された米アップルのスマートフォン(高機能携帯電話)「iPhone(アイフォーン)」用のカバーが10~20元。黒字に白抜きで「抗日」とプリントされた布製エコバッグが30元。日章旗をデザインした玄関マットは49~720元だ。出入りするたびに日章旗を踏みつけてやる、との品のない発想だろうか。
店舗向けには「釣魚島防衛!当店は日本製品は扱っていません!」との文面を好戦的な目つきな中国兵や中国女性の絵とともに描いたポスターや、笑顔の漫画で「抗日大特売」とするポスターも売られている。
いずれも1.8元。ここまでくると、「反日」に悪ノリした売らんかな商売といえる。中国最大手でアリババ傘下のネット販売サイト「天猫(旧淘宝モール)」などでは、まさに「反日グッズ」のオンパレードだ。
思わず同情してしまいそうになるのが、乗用車のボディーやガラスに貼るステッカー類。尖閣領有の主張で“愛国心”を誇示するのが目的だが、日本車のエンブレムやブランド名がめだたないようにする効果もある。“後ろ指”をさされないよう政治的メッセージを表示したいとの思い、日本車を狙った襲撃を避ける際の“お守り”にしたい気持ちがうかがえる。
だが、「中国のネット販売も、反日感情や不買運動でビジネスとしての展望が危うくなってきた」と判断するのは、まだ早い。
ネット販売市場で50%のシェアをもつ天猫への新規出店で、日本企業に「初年度売り上げ1000万円保証プラン」を打ち出した上海のコンサルタント企業、上海斉優商務諮詢の久能克也氏は「ネットショッピングで日本製品人気はほとんど衰えていない」と話す。若者には、反日意識と消費行動が直接は結びつかないとみているのだ。
ネット販売支援で5年の実績をもつ久能氏によると、9月の反日デモ前後から天猫で売り上げを下げたのは、中国人に日本を象徴する商品とみられるパナソニックなど限られたブランドで、国際企業と受け止められているソニーなどは変わらない。それどころか逆に、ユニクロ製の衣料品はネット販売が急増しているという。
日本企業の店舗での買い物姿を誰かに見とがめられたくないが、それでも根強い人気のユニクロ製品はやっぱりほしい、との心理が働いたのか。久能氏はいう。「政治信条とは別に、ほしいモノはほしいと考える若者は着実に増えている」
久能氏には、これまで中国で紳士靴や化粧品、ベビー用品、家具などを扱った際の販売実績をベースにした、「これならいける」との経験則がある。まさに反日デモの渦中だった9月に同社が初出店を支援した日本の羽毛ふとん会社も、売り上げは好調だ。
羽毛の洗浄や消毒などの技術を持ち込んだ中国工場で生産し、中国国内でネット販売するビジネスに手応えを感じている。「初年度売り上げ1000万円は経費を考えると企業にとってギリギリの採算ライン。
だが、ここを踏み台に次年度から数千万円の売り上げが狙える成長性が中国市場にある」と、進出した羽毛ふとん会社は目を輝かせる。
なんといっても上海斉優商務諮詢のこのビジネス、初年度売り上げ1000万円を達成できなかった場合、出店運営費用など総額200万~300万円の経費を、「全額返金する」というから強気である。考えてみれば、反日グッズが売れ筋だからといって、日本製品すべてが排除されるはずもない。むしろ中国では、「反日ビジネス」と、本音の消費者心理は区別すべきもののようだ。(産経新聞上海支局長 河崎真澄)