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アベノミクスと米景気で株高・円安が進行 輸出企業は明暗分かれる
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リーマン・ショックからの日経平均株価 8日の東京株式市場で、日経平均株価は、前日比315円54銭高の1万2283円62銭で取引を終え、リーマン・ショック直前(2008年9月12日)の1万2214円を上回った。
約4年半ぶりの高値水準で、上げ幅は今年2番目の大きさだった。平均株価が7営業日連続で上昇するのは、12年10月15日から23日まで続伸して以来。また、外国為替市場でも円安が進行し、約3年7カ月ぶりに1ドル=95円台をつけた。
大胆な金融緩和などを軸にした安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」に対する期待感と、株式市場が連日最高値更新を続ける米国経済の景気回復へ向けた動きなどが投資家を後押しした形だ。今後は、円安株高が企業業績の大幅な改善に寄与し、企業の投資意欲が高まり、景気回復への動きが加速するかどうかが試される。
前日の米ニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均が33.25ドル高の1万4329.49ドルに上昇、3日連続で史上最高値を更新。円相場で円安ドル高が進んだ背景は「米の景気回復への動きが顕著になりドルが買われた」(大手証券)ためだという。
東京市場は東証1部の約7割が値を上げ、ほぼ全面高の様相。野村証券の試算では、平均株価が8870円だった昨年9月末の事業会社1848社の含み益合計は4兆2200億円。これに対し、8日と同水準の08年3月末時点(平均株価1万2525円)の含み益は12兆4400億円。企業の13年3月末の含み益も、大幅な拡大が期待されている。
ただ、円安で追い風を受けるはずの輸出企業でも、明暗が分かれる。個別株を「リーマン前」と比べると、ソニーやパナソニック、シャープなどの家電系の電機メーカー株は当時の数分の一にとどまるなど、苦戦を強いられている。新興国の台頭など、国際的な競争環境が激変したことが背景にある。これに対し、自動車メーカーではトヨタ自動車、ホンダ、日産自動車の8日の終値は、2008年9月12日を上回った。
一方、原発停止の影響や燃料高など経営環境が悪化する電力会社は、福島第1原発事故を起こし、国有化に追い込まれた東京電力が当時の13分の1になったほか、他の電力会社の株価も低迷したままだ。
平均株価の先行きについて、野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストは「基本的な傾向は変わらない」と上昇を予測する。
しかし、円安株高の追い風に乗れるかどうかは、それぞれの企業が直面している経営課題にどう対処するかにかかっている。
2008年9月12日 2013年3月8日
トヨタ自動車 4790円 4910円
パナソニック 2105円 665円
ソニー 3720円 1464円
シャープ 1235円 319円
ファーストリテイリング 11410円 31500円
ソフトバンク 1708円 3775円
東京電力 2815円 216円
※終値ベース