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パキスタン、ネット利用3000万人超 携帯電話が牽引

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パキスタン、ネット利用3000万人超 携帯電話が牽引

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 パキスタンのインターネット利用者が3000万人を突破し、なお増加中だ。英モバイル調査会社のオン・デバイス・リサーチによると、全利用者のうち1500万人が携帯電話など携帯端末を使用しており、今後、事業拡大を目指す外資系通信会社による投資も増加しそうだ。現地英字紙エクスプレス・トリビューンなどが報じた。

 国連機関の国際電気通信連合(ITU)の統計では、パキスタンのネット利用者は2000年にはわずか約14万人だった。その後、携帯電話の普及やネット接続機能付き端末の低価格化などが進み、ネット利用者の増加が加速した。

 現在、同国の携帯電話加入者数は1億2000万人で、月100万人のペースで増加が続く。このうち大容量高速通信のブロードバンド回線加入者が220万人で2年前の2倍となったほか、スマートフォン(高機能携帯電話)の普及率が10%を超えるなど、携帯端末でのネット利用は広がりを見せはじめている。

 オン・デバイス・リサーチ幹部は、現在のパキスタンのデジタル広告市場が広告市場全体の1%に当たる500万ドル(約5億円)規模にとどまると指摘。電子商取引市場も2500万~3000万ドル規模だとしたうえで、「世界6位の人口1億9000万を有する巨大市場であることを考えると、インフラ、ネット環境、金融システムなどの整備が順調に進めば、ネット関連分野の将来は明るい」と述べた。

 また、同国では今後も携帯端末を使用したネット利用の増加が予想されるため、外資系通信会社などの投資も続いている。05年以降、現在までに通信分野への外国からの直接投資額は70億ドルだった。

 投資は今後も続く見込みで、通信業界世界5位のノルウェー国営テレノールは15年までに10億ドルを投じて基地局の増設などに着手する意向を表明した。

 21年までに外資系各社の通信分野への投資額は合計50億~100億ドルに達する見通しだ。

 一方で、パキスタンの通信分野は検閲という問題を抱えている。同国政府は動画投稿サイト、ユーチューブへのアクセスを08年以降、4回にわたって遮断したほか、軍や紛争地域に関する情報などへのアクセスも厳しく制限するなどしている。

 ネット利用者の増加とともに自由な情報へのアクセスを求める声が高まれば、政治的に新たな問題に発展する可能性もある。

 今後、通信インフラの近代化や、ネット情報の取り扱いなどに対するパキスタン政府の取り組みに注目が集まりそうだ。(ニューデリー支局)

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