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インドネシアで「低価格グリーン・カー」始動 日系企業、続々と投入

ニュースカテゴリ:政策・市況の海外情勢

インドネシアで「低価格グリーン・カー」始動 日系企業、続々と投入

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 国内自動車市場が順調に拡大するインドネシアで、低燃費・低価格車への優遇税制「低価格グリーン・カー(LCGC)プログラム」が始動した。

 1リットル20キロ以上の燃費性能や4.6メートル未満の最小回転半径、部品の現地調達などの条件を満たしている適用車に対し、奢侈(しゃし)品販売税を減免する。

 車両販売価格も、エアバッグなどの安全装備抜きの場合、9500万ルピア(約82万円)以下に抑えることが義務付けられている。

 産業の裾野拡大へ

 インドネシアでは、中間層の厚みが増し、自動車を初めて購入する世帯の増加や中古車からの乗り換え需要を見込み、各自動車メーカーがしのぎを削っている。

 新政策は自動車産業の裾野拡大を目指して3年以上前に持ち上がった。高い現地調達率が求められるため、日系を中心に部品や原材料供給企業の進出ラッシュの大きな牽引(けんいん)役となった。

 適用の第1号となったのはダイハツの「アイラ」とトヨタの「アギア」。排気量1000ccで、ダイハツの現地製造法人が生産を担当し、9月に販売を開始した。

 ホンダは、排気量1200ccのマニュアル車「ブリオ・サティヤ」を発表。年内の販売開始を見込む。タイからの完成車輸入となる「ブリオ」を昨年から販売していたが、モデルチェンジに合わせ排気量1300ccの「ブリオ・スポーツ」、オートマチック車もある「ブリオ」とLCGC適用車とのすみ分けを図る。

 スズキは「ワゴンR」をベースとした「カリムン・ワゴンR」をLCGC適用車として年内発売を目指す。

 日産は新興国戦略車として復活させた「ダットサン」ブランドでの投入を決定。インドで披露された「GO」のインドネシア版のほか、インドネシア市場向けに開発した7人乗りの「GO+(ゴー・プラス)」をカルロス・ゴーン社長自らがジャカルタで発表し、力の入れようを見せた。

 「GO+」はこれまでの適用想定車の中で唯一の3列シート。多人数での乗車が一般的とされるインドネシア市場の特徴を取り込み、来年の投入を予定している。

 渋滞悪化の懸念も

 一方、交通渋滞が年々ひどくなるジャカルタで、次期大統領と目されるジョコウィ州知事が、販売台数をさらに押し上げ、渋滞を一層悪化させるとして新政策実施に抗議するなど、新政策は論議を呼んでいる。

 9月下旬に開かれたインドネシア国際モーターショーの開幕式に出席したブディオノ副大統領は、自動車産業は経済波及効果が高く、工業技術水準の向上にも重要な役割を果たしているうえ、雇用創出効果も大きいとして、政策の継続を明言。

 並行して渋滞対策を講じる必要があると強調し、鉄道網やバスなどの公共輸送機関の整備を早急に進めていく方針を示した。ジャカルタやスラバヤ、メダン、バンドンなどの大都市を対象に、シンガポールで導入されている電子式道路課金システム(ERP)の採用も検討しているという。(インドネシア邦字紙「じゃかるた新聞」編集長 上野太郎)

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