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海外電子商取引の非課税是正へ議論 アマゾンなど海外サーバー経由は国外扱い
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来年4月の消費税率引き上げの正式決定を受け、インターネットを通じて海外から配信される電子書籍や映像などの電子商取引に消費税が課されていない問題が改めてクローズアップされている。
同様の取引に課税されている国内企業との不公平が一段と拡大することになり、国内企業の不満は強い。政府は是正に向け、海外からのネット配信への課税の検討を急ぐ。
日本の消費税は国内取引と、税関を通るモノの輸入に課される。ネット販売についても、国内企業の配信は国内での取引のため、消費税が必ずかかる。
これに対し、海外に拠点を置く企業が、海外に置いたサーバーを経由して電子書籍などを日本の消費者に配信する場合は、税関を通らないため、国外での取引とみなされる。法律上の抜け道が、この違いを生んでいる。
米アマゾン・ドット・コムの配信には消費税がかかっておらず、日本版ホームページでも「電子書籍、MP3(音楽データ)には消費税は課税されません」と記す。
2012年にカナダの電子書籍販売会社を買収した楽天も、カナダ経由で行った電子書籍のデータ配信には消費税がかからない。
たとえば、現在、本体価格が1000円の電子書籍を購入する場合、国内企業が日本で配信したケースでは消費税率5%が上乗せされて実売価格は1050円となるが、海外経由だと1000円のままで、割安になる。
大和総研の試算によれば、課税を免れた海外からのネット配信の消費税額は12年だけで約247億円に上るという。
消費税率は14年4月に8%、さらに15年10月には10%へと2段階で引き上げられる予定。
税率が高まるほど、国内企業と外国企業の価格差は大きくなり、ヤフージャパンや紀伊国屋書店などの国内勢は平等な競争条件の実現を政府に強く求めている。
政府も対策の検討を本格化しており、今月8日の政府税制調査会では、海外からのネット配信など国際課税問題について対策を集中的に議論する。
具体的には企業やサーバーの所在地に関係なく消費税を課す方法に改める案などが検討される見込みだ。