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フィリピン、アジアLCC市場の中核狙う クラーク空港に専用ターミナル
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フィリピンが成長著しいアジア格安航空会社(LCC)市場の中核拠点を目指す。同国が整備を進めるクラーク国際空港で、LCC専用ターミナルの建設が本格的に始動する。マニラ首都圏にあるニノイ・アキノ国際空港の旅客受容能力が限界に達しつつあるため、クラーク国際空港の拡張を進めると同時にLCC専用ターミナルを設置し、新たな需要の取り込みを狙う。現地紙ビジネスワールドなどが報じた。
クラーク国際空港公社のルシアノ総裁によると、LCC専用ターミナルの建設は来年第2四半期(4~6月期)に着工し、2年後の16年に完成予定という。総工費72億ペソ(約164億円)で、年間に最大1500万人の利用が可能。すでにフランスのパリ空港財団と設計などに関するコンサルティング契約に合意していることも明らかにした。
クラーク国際空港の昨年の年間旅客数は前年比71%増の131万人で、国内の空港で最も旅客数が増えた。今年は同53%増の200万人を見込んでいる。
アキノ空港に次ぐ国際空港とするため拡張を進め、10年に完了した第1期拡張工事では航空機と空港ターミナルを結ぶボーディングブリッジ(搭乗橋)などが設置された。
今年初めに着工した第2期拡張工事は、総工費3億6000万ペソ。搭乗カウンターを現在の14カ所から34カ所に増やし、出発・到着エリアも拡張するほか、搭乗者の手荷物受け取り用ベルトコンベヤーなども整備する。計画当初は14年6月に工事を終える予定だったが、半年早く年内に完了する見込みだ。
フィリピンのジェセフ・エミリオ・アバヤ運輸通信相は「アキノ政権はクラーク国際空港の拡張を重要なインフラ事業と位置付けており、特にLCC専用ターミナル建設に関して強力に後押しする姿勢だ」と発言した。
クラーク国際空港はマニラ中心部から北西約80キロメートルのルソン島パンパンガ州クラーク経済特区にあり、旧米軍基地から転用した。現在、フィリピンLCC最大手のセブ・パシフィック航空など約10社の国内外の航空会社が就航している。
今月1日からはアラブ首長国連邦(UAE)の国営エミレーツ航空が乗り入れを開始するなど国外の航空会社の新規就航に加え、LCC専用ターミナルが建設されることで、クラーク国際空港はフィリピンの新しい玄関口としてますます存在感を増していきそうだ。(シンガポール支局)