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TPP交渉“漂流”の瀬戸際 膠着打開へ日米事務協議

ニュースカテゴリ:政策・市況の国内

TPP交渉“漂流”の瀬戸際 膠着打開へ日米事務協議

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 ■【Monday i.】膠着打開へ日米あすから事務協議

 日本や米国など12カ国が貿易・投資の自由化を目指す環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が漂流しかけている。2月にシンガポールで開いた閣僚会合は、交渉を牽引(けんいん)するはずの日米両国の対立が響き合意を先送りした。日米は今月11、12日に米ワシントンで事務協議を開いて膠着(こうちゃく)状態の打開を目指すが、11月に中間選挙を控える米国は妥結を「年内」に設定しており、長期化は避けられない情勢だ。

 歩み寄りなき関税

 甘利明TPP担当相は7日の閣議後会見で「(事務協議は)日米間の課題を解決する上で、極めて重要な交渉になる」と述べた。

 協議には大江博首席交渉官代理と米通商代表部(USTR)のカトラー次席代表代行が出席。日本のコメなど農産品重要5分野の関税の扱いなど「残された懸案」を議論する。

 2月の閣僚会合では、強硬姿勢を続けてきた米国が、国有企業改革など難航分野で新興国に一部歩み寄りの姿勢をみせ、交渉は「70~80%まで進展した」(甘利氏)。だが最難関の関税撤廃・削減を扱う「物品市場アクセス」では日米の意見の隔たりが埋まらず、他の参加国から「重要な核心部分について(日米合意を)待っている状態だ」(ニュージーランドのグローサー貿易相)と不満が漏れた。

 このため日本は、4月下旬に予定する日米首脳会談までに協議を重ねて事態を打開したい考え。5月のアジア太平洋経済協力会議(APEC)貿易相会合に併せてTPP閣僚会合を開き大筋合意を宣言するシナリオも視野に入る。

 だが、最大の懸案である重要5分野の関税について落としどころは見えない。日本側は低関税率の特別輸入枠設定や、5分野を細かく分けた計586品目のうち一部で関税撤廃・引き下げに踏み込む譲歩案を用意。甘利氏は閣僚会合前から、「(日米が)互いにカードを切る」と述べ、譲歩案を提示しあう「歩み寄り」に期待してきた。

 一方、米国は事務協議では一定の理解を示すが、USTRのフロマン代表が強硬に関税撤廃を主張し、譲歩案の提示さえもしていないのが実情だ。

 中間選挙で不透明感

 米国は11月の中間選挙が迫る中、「(支持率の低い)オバマ政権は、日本に市場開放を求める農業団体などの言いなりにならざるを得ない」(通商筋)とみられる。実際、USTRは、今月4日に米議会に提出した通商政策の年次報告書に「(TPPは)14年に交渉を終えるべく取り組む」と明記。これまで3度先送りしてきた「年内妥結」を今年も目標に掲げたため、「11月の中間選挙後まで妥結を先送りするのでは」との観測もある。

 このため今回の日米協議にも不透明感が漂うが、安倍晋三政権にとってTPPは成長戦略の大きな柱。経済界からも「TPPは国内の改革や生産性の向上に寄与する。交渉のカードを先に切ってはいけないが、できるだけ早く合意を形成してほしい」(長谷川閑史・経済同友会代表幹事)と期待が大きい。

 それだけに交渉が失敗すれば経済政策「アベノミクス」への期待が急速にしぼむという懸念も強い。4月の日米首脳会談までの期間を逃せば交渉の失速は確実になる。日本の国益を守りつつ、米国との対立に着地点を見いだすことができるか。残された時間は少ない。(会田聡)

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