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日系自動車各社のメキシコ進出、実は「苦肉の策」 TPP交渉立て直し急務
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開所式後、マツダの山内孝会長(左から2人目)はメキシコのペニャニエト大統領(同3人目)に記念のデザイン画を手渡した=2月27日、メキシコ中部グアナフアト州のサラマンカ 日系自動車メーカーが輸出拠点としてメキシコへの進出を加速させているのは、日本の通商戦略の出遅れによる競争条件の悪化を回避する「苦肉の策」でもある。ただ産業の裾野が広い自動車各社の海外への生産移転が進むほど、安倍晋三政権が狙う国内の雇用増は難しくなりかねない。国内産業の空洞化に歯止めをかけるには、難航する環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の成否が大きな鍵を握っている。
日本の貿易総額に占める自由貿易協定(FTA)相手国の比率は19%で、米国(38%)、韓国(35%)などに比べ大きく見劣りする。日本は米国とFTAを結んでおらず、米国は日本からの輸入乗用車に価格の2.5%、売れ筋のスポーツ用多目的車(SUV)を含むトラックに25%の関税をかけている。これに対し、日本の輸入車関税率はすでにゼロだ。
2012年に発効した米韓自由貿易協定(FTA)では、韓国からの輸入乗用車の関税が16年、トラックが21年に撤廃されることが決まっている。このままでは、米国市場で日系メーカーが韓国メーカーよりも不利な競争を強いられかねない。
日系メーカーが注目するメキシコは米国、カナダと北米自由貿易協定(NAFTA)を締結しており、米国での価格競争力を維持するための輸出拠点として最適だ。NAFTAは今年、発効から20年の節目を迎え、この間、3カ国の貿易額は3倍以上に拡大。なかでも最も恩恵を受けているのがメキシコとされる。
3カ国はTPP交渉にも参加しており、NAFTAをTPPのひな型としたい考え。2月19日には3カ国の首脳が集まり、「野心的で包括的なTPPを早期に締結」と明記した共同宣言を採択した。
ただ、推進役の米国は自国の自動車産業に配慮し、日本に輸入車の関税撤廃を最大限猶予することを認めさせる一方で、農産品重要5分野の関税撤廃を要求。日米の対立で交渉は漂流しかねない状況だ。
日本が国内生産を守るには、通商戦略での巻き返しは欠かせないだけに、TPP交渉の立て直しが急務となる。