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安倍が示した集団的自衛権行使の基準とは? 「明白な危険」は『攻撃国の意思』など5要件

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安倍が示した集団的自衛権行使の基準とは? 「明白な危険」は『攻撃国の意思』など5要件

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参院予算委の集団的自衛権の行使容認をめぐる集中審議で、民主党の福山哲郎氏(右手前から2人目)の質問に答弁する安倍首相=15日午後  安倍晋三首相は14、15両日の閉会中審査で、新たに閣議決定した武力行使の3要件に関し、日本が直接攻撃されていなくても「国民の権利が根底から覆される明白な危険」と判断する5つの基準を示した。判断基準を設定したのは、政権による恣意(しい)的な判断をできる限り排除していることを強調する狙いがある。首相は今回の国会審議を通じて、野党の批判や国民に広がる誤解を意識し、丁寧な説明に徹したが、連立政権を組む公明党との立場の相違も浮き彫りになった。

 ■「明白な危険」とは

 新たに示された判断基準は(1)攻撃国の意思、能力(2)事態の発生場所(3)事態の規模、態様、推移(4)日本に戦禍が及ぶ蓋然性(5)国民が被る犠牲の深刻性-の5つ。首相は「他国に対する武力攻撃が発生した場合、(日本が)武力を用いた対処をしなければ、わが国が武力攻撃を受けた場合と同様の深刻、重大な被害が及ぶことが明らかな状況」と説明した。

 その上で、政府が与党に提示した邦人輸送中の米輸送艦の防護など集団的自衛権行使の8事例については、武力行使の3要件を満たせば全ての事例が可能になるとの見解を示した。

 この判断基準に従い、武力行使3要件に該当すれば国連安全保障理事会決議に伴う集団安全保障措置への参加も可能になる。

 ■機雷掃海は

 首相は、中東・ホルムズ海峡の機雷封鎖などを想定したシーレーン(海上交通路)の掃海活動について「機雷掃海は国際法上は武力の行使に当たるが、受動的、限定的なものは3要件に当てはまる可能性がある」との認識を示した。理由については「かつての石油ショックを上回るショックになる可能性はある。(日本にとって)死活的な影響も考えられ、機雷掃海を選択肢として考える必要がある」と訴えた。

 輸入原油の8割が通過するホルムズ海峡の封鎖によって経済活動に必要な輸入が途絶えれば、国民生活は困窮し、経済危機に陥る。こうした事態についても、3要件にある「国の存立が脅かされ、国民の権利が覆される明白な危険」と認定されるべきだとした。

 ただ、集団安全保障措置をめぐっては、公明党の反発で閣議決定への明記を見送った経緯がある。それでも首相が集団安全保障措置に言及するのは、集団的自衛権の行使から国連決議で移行した場合でも自衛隊の活動を中断せず、連続性を持たせなければならないと考えるからだ。政府・自民党は「暫時休憩」としている与党協議会で引き続き議論する方針だ。

 ■活動範囲は

 自衛隊の活動範囲も公明党の立場は異なる。政府・自民党がホルムズ海峡なども想定しているのに対し、公明党は朝鮮半島有事を含む日本周辺に限定したい考えだ。14、15日の審議で公明党が深く追及することはなかったが、今後の与党協議で解決すべき課題として残っている。

 集団的自衛権の行使容認に否定的な野党や、報道機関の批判も意識した。

 首相は「3要件は世界で最も厳しい。きっちりとした歯止めだ」と述べ、限定的な活動に限られることを強調した。「米国の戦争に巻き込まれる」といった疑念に対しては、2001年の米中枢同時テロのような攻撃があった場合も集団的自衛権の行使の対象にならないと答えた。

 同時に「自衛隊が実際に活動する上では、国会承認も必要となる。政府、国会で3要件に当てはまるかがしっかりと議論される」と述べ、国会の関与を強調。徴兵制につながるとの批判には「導入することは憲法上あり得ない。集団的自衛権行使とは全く関係ない」とした。(峯匡孝)

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