ADB、謎多きAIIBに懸念 「中国の影響力」「甘い審査」「乱開発」
更新アジア開発銀行(ADB)が、中国の主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)との協力関係を模索するのは、AIIBの組織運営などをADBが採用する「国際基準」に合わせることを狙ったものだ。謎多き国際機関への警戒感は根強いが、中国側は不安解消に動く気配はなく、「中国の巨大な影響力」「甘い審査」「乱開発」という3つの懸念は解消されていない。
AIIBで、最大出資国の中国が非常に大きな議決権を確保し、意思決定で有利に立つのは間違いない。
ADBは理事会で最終的に融資案件を承認するが、出資比率が高い国が圧倒的に有利にならないよう議決権を調整している。出資が多い国は議決権を減らし、出資割合が低い途上国などは増やす仕組みだ。
だが、AIIBは理事会の有無も不透明。大和総研の斎藤尚登シニアエコノミストは「早い段階できちんと説明しなければならない」と指摘する。
さらに不安視されているのは融資審査基準の不透明さだ。ADBなど既存の国際金融機関は、融資の際に「返済が滞りなく行われるのか担当部署が厳しく審査している」(ADB駐日代表事務所)。担当者も定期的に研修を受ける態勢が整う。
