働く、が変わる TELEWORK

「テレワーク週間2015」を日本マイクロソフトが実施 6割が生産性向上・作業の効率化を実感

2015年8月24日から28日の平日1週間、日本マイクロソフトが実施した「テレワーク週間2015」には昨年比で20倍となる651の自治体や企業・団体が賛同し、日本全体が働き方の変革を考えている状況が明確になった。

651自治体・法人が賛同 昨年比で20倍

取り組みに「一定の成果」

「テレワーク週間」は、日本マイクロソフトが2011年の本社オフィス移転と東日本大震災を機に始めたテレワークへの取り組みが拡大したもの。はじめは同社単独でスタートしたが、昨年から賛同法人を募り外部と共同で実施している。今回参加した自治体や法人は「テレワークを実践する」「テレワークを学ぶ/議論する」「テレワークを応援する/協力する」の3つのカテゴリに分かれてテレワークに取り組んだ。

たとえば、関東と関西を中心に店舗展開するカラオケルームでは、テレワーク週間にカラオケルームの一部をテレワーク実施スペースとして提供、30分100円という特別価格を設定した。また、大手通信キャリアは、Wi-fi(ワイファイ、公衆無線)ルーターやデータ通信カードを無償で貸し出した。日本マイクロソフトでもテレワークを学び議論する方々を支援するために、賛同法人に向けたセミナーやオフィスツアーなどを実施、次世代を担う中学生向けにもテレワークセミナーを開催した。取り組みの結果、参画した企業や団体の多くが一定の成果を出し「テレワークを考えるよいきっかけづくりになった」という回答を寄せている。

8割以上の高い満足度

テレワーク週間終了後に日本マイクロソフトが実施したアンケート調査によれば、88%の会社や団体が意識面で前向きな活動になったと評価している(図1)。また、テレワーク週間に賛同したことはテレワーク推進の一助になると答えた推進担当者の割合も86%にのぼるなど、トライアルの機会を好感した回答が多かった(図2)。働きやすさを実感したという回答も74%に達した。

「コスト」「時間」の削減と生産性向上を実感

さらに、テレワークによってコストや時間が削減されただけではなく、生産性や売り上げの増加にもつながったという評価もある。推進担当者へのアンケートの中で、経費の削減については回答者の37%が効果を示している(図3)。時間においても、61%が「時間削減効果があった」と回答している(図4)。

具体的な指標ではなく直感的な生産性の向上や作業の効率化といった点でも、59%が効果を実感している(図5)。加えて、将来的な効果に対する期待としては、売り上げが2割増加するだろうという意見が25%あり、5割増や倍増への期待も寄せられていた。

コメントの中には、「一週間の業務配分を事前に考えるため自分の中で業務の棚卸しができた(情報・通信業)」という意見や、「各自の時間の有効活用ができる(情報・通信業)」「ソロワークの生産性が向上した(精密機器業)」などという前向きな意見も多い。一方で「勤怠管理や生産性管理の方法を会社として制度を確立する必要がある(情報・通信業)」という課題や、「幹部社員などが率先して実施する会社の姿勢が必要(小売業)」という指摘もあった。

「テレワーク週間2015」全体意識調査

テレワークの推進を阻害する要因

「ICT環境」「制度」「マインド」が阻害要因

日本マイクロソフトでは2014年に実施したテレワーク週間の意識調査の結果から、日本におけるテレワークの推進を阻害する要因について独自の分析結果を発表、阻害要因は「ICT環境」「制度」「マインド」の3つに分類した。

「ICT環境」においてはオンライン会議の仕組みが整備されていなかったり、通信機器の不足などがある。また、「制度」では労務規定や勤怠管理やセキュリティなどへの懸念があげられる。「マインド」の面ではさぼり誘発などのマイナスイメージや、テレワークという発想そのものがない働き方が指摘されている。

こうした阻害要因に対して、日本マイクロソフトでは社内でのテレワーク実践によって解消してきた実績があり、同社は今後もテレワーク週間などの取り組みを通して、より多くの企業にテレワーク推進のNo.1サポーターとして貢献していく考えだ。

「テレワーク週間2015」賛同法人にきく

ダイバーシティ推進を会社の活力に

人事センター ダイバーシティ開発部
統括部長
大庭薫氏 (右)
D&I推進2GP
竹田恭子氏 (左)

ソニー(東京都港区)は2005年から「DIVI@Sony」というダイバーシティを推進する社長直轄の社内プロジェクトを継続してきた。各部署から選抜された約20名の社員が、多様な個性や価値観をもった社員一人ひとりが能力を最大限に発揮できる組織風土の醸成と活性化を目的に、様々な活動や提案を行っている。同社には以前から育児や介護などに取得目的を限定した社員向けの在宅勤務制度があり、テレワークを行う環境は整備されていた。しかし社員の意識調査を行ったところ、制度はあっても自分だけが在宅勤務をしていると周囲の目が気になったり、評価への影響が心配でなかなか利用が進まないという声があったという。そこでテレワークの対象者をもっと広げた方がいいのではないかという意見があり、日本マイクロソフトの提唱したテレワーク週間をきっかけとして3週間のトライアルを実施した。

実施結果と課題解決策をイントラネットで公開

ソニーでは、社内41部署約1500名を対象に部門や部署に制限を設けず、週に1日1回、終日または半日を2回というルールでテレワークを実施した。人事センター ダイバーシティ開発部の大庭薫統括部長は「実施後に行ったアンケートの結果、実施者のおよそ9割の社員が『テレワークを実施して良かった』と回答しました。残りの10%からは、ミーティングが多いから難しい、社内のコミュニケーションが取りづらいなどいくつかの課題が出てきました。それらは想定の範囲内の意見で、こうした課題はITツールの活用や働き方の改革で大部分は解決できます。そこで、実際にアンケートから得られた成果やツールの使い方などを社内のイントラネットで紹介することで、テレワークを推進していこうと考えています」と成果を振り返る。

テレワーク月間にダイバーシティウィークを実施

ダイバーシティウィーク
11月2日から始まる「ダイバーシティウィーク」のロゴ

11月のテレワーク月間中、第二次のテレワーク・トライアルの対象をソニーグループに広げて実施すると同時に、組織へのダイバーシティ & インクルージョン(D&I、多様性と受容)の理解を促進するためにソニーグループを対象としたダイバーシティウィークを実施する。その目的について、D&I推進2GP 竹田恭子氏は「ダイバーシティウィークではより多くの社員にテレワークを体験してもらうことで、これまで親しみのなかったD&Iというテーマを自分のこととして実感してもらう目的があります。テレワーク月間の時期に重ねることでダイバーシティ理解の向上や、経営層および社員の意識向上と啓発につながると期待しています」と話す。

同社では、来年度に向けたテレワークへの取り組みも進めている。D&Iの実現は単なる人事面での福利厚生だけではなく、多様性という視点で改めて会社の中を見直し、よりクリエイティブで活気に満ちたソニーにしていく経営改革的な取り組みでもある。

経営課題としてトップダウンで働き方改革

ITマネジメント事業部門
基盤インテグレーション事業本部
流通基盤インテグレーション第二部
副部長 マイクロソフトソリューション第一課長
佐藤利宏氏 (左)
課長代理
工藤梓氏 (右)

全社で取り組む

ITサービスを提供するSCSK(東京都江東区)では、4年前の会社統合を機にトップダウンによる働き方改革を推進してきた。具体的には、月内の残業時間を平均20時間以内に削減、年間の有給休暇20日取得を目標とした「スマートワーク・チャレンジ20」をスローガンとして掲げ、全社で取り組んできた。また、業務の生産性向上や多様な人材の活用のためのひとつの施策として、テレワークの推進にも力を入れている。「当社では育児や介護によって経験を積んだ社員の離職を防ぎ、都心のオフィス空間の有効活用を目的にテレワークを推進しています」とITマネジメント事業部門基盤インテグレーション事業本部流通基盤インテグレーション第二部の佐藤利宏副部長は説明する。

役員の戦略会議もオンライン会議を活用

同社では、部長以上の役員もコミュニケーションプラットフォーム「Skype for Business」のオンライン会議などのITツールを活用して戦略会議などの重要なミーティングを行い、テレワークを実践してきた。システムインテグレータである同社にとって、このチャレンジをITツールで実現することは、成果をお客様への提案として商材にできるメリットもある。しかし、全社員にテレワークが浸透しているかといえばまだ100%ではなく、テレワーク週間に参加することで社内への認知や普及の促進をはかったという。

社員満足度も向上

「テレワーク推進の成果の一つに社員満足度の向上があります。事故や災害などで交通機関が停止した際にテレワークの利用が当たり前であれば、交通網が復旧するまで自宅などでITツールを活用して業務を継続できます。急いで会社に来る必要がないのでストレスを軽減し、効率の良い働き方を実践できるようになります。また、ワークライフバランスに効果があると評価した社員も多くいました」とテレワーク週間の推進担当者である同部の工藤梓課長代理は話す。

出てきた課題の解決策をビジネスに活用

テレワーク週間中に多くの社員が参加することでこれまで以上に成果を得た同社だが、中にはいくつかの課題も出てきたという。「社員の自宅の状況によっては小さな子どもがいて仕事に集中できない、ウェブカメラで室内が映されるのに抵抗を感じるという意見もありました。今後は課題を解決する取り組みによってさらに働き方改革を推進していくだけではなく、その解決策を当社のソリューションとしてお客様に提案していきたいと思っています」と工藤氏はテレワーク週間によって得られた貴重な意見が、同社のビジネスにも結びつくと語った。

執行役常務 パブリックセクタ―担当
織田浩義氏

ワークスタイル変革のリーディングカンパニーを目指す 日本マイクロソフト

当社は2010年からワークスタイル変革に取り組んできました。その理由を一言で表すなら、テレワークを推進した働き方には「うまみ」があるからです。業務の生産性が上がることでビジネスの競争力が強化され、社員の満足度が高まるといった「うまみ」です。

社員向け意識調査のワークライフバランスに関する項目において、5年で40ポイント改善しました。また、残業時間も5年間で5%削減し、旅費や交通費なども20%減少しています。さらに、女性の離職率は40%も低減し、49%のペーパーレスを達成しました。

テレワークを推進したことで社員はいつでもどこでも誰とでもコミュニケーションできます。その結果、日本の2500人のノウハウを有効に活用できるだけではなく、グローバルで10万人のスタッフの叡智を集結したビジネスが可能になるのです。

テレワーク週間を通して得られたアンケート結果から、テレワークの推進には「ICT環境」「マインド」「制度」という3つの阻害要因があるという分析結果が得られました。しかし、この阻害要因に対して、我々には解決策があります。「制度」においては、当社のやり方をそのまままねて頂いてもいいのです。「ICT環境」の改善には「Office 365」があります。残る「マインド」では11月からのテレワーク月間に参加して、多くのトライアルを積まれるのがいいと思います。

日本マイクロソフトは、ワークスタイル変革のリーディングカンパニーを目指して今後もテレワークに最適な製品やサービスを提供していくだけではなく、我々が培ってきたノウハウを共有していく活動を進めていきます。