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テレワークで地域活性化 15地域で「ふるさとテレワーク」地域実証事業を推進

総務省は9月29日、ICTを利活用した地方創生に向けて「ふるさとテレワーク推進会議(第1回)」を開催した。同会議には総務省の「ふるさとテレワーク地域実証事業」に採択された15地域の実証団体の代表者に加え、構成員15人が参加した。「いつもの仕事がどこでもできる」というテレワークの特性を活かして、地方への人と仕事の誘致を実現し、地方創生につなげるのがねらいだ。

高市早苗総務大臣と15実証団体の代表者(9月29日、総務省)

今年3月末に公募があった同事業には37件の提案が寄せられ、有識者による審査を経て、15件が採択された。地方オフィスに都市部の企業が社員を派遣する、子育てや介護を理由に地方への移住を希望する社員がテレワークで業務を継続する、インターネット上で業務を委託するクラウドソーシングを使い、個人事業主が都市部の仕事を受託するなど様々な形態のテレワークを実証していく。企業にとっては人材流出防止や優秀な人材の確保といったメリットや、オフィスコストの削減と豊かな自然環境による社員のリフレッシュといったメンタルサポートにも対応できる。また、地域にとっては認知度の向上による移住者の増加や地域雇用の拡大が期待できる。会議の意見交換では、「移住と定着のポイントは、現地でのメンターとの出会いだ」といった意見や、「地域文化とITをかけ合わせてその地域独自のものが生まれることを期待したい」といった声があった。同時に、地方へ移動する人やその家族に向けて、ICTを活用した医療や教育、子育てサポートや防災情報の提供といった生活直結サービスの実証も行う。地域実証の実施状況や成果は、全国展開できるモデルとして共通基盤サイト上で情報発信していく予定だ。

企業と地域の共創

採択された15件のうちの1つ、奈良県東吉野村は審査の中でも評価の高かった実証事業だ。奈良県東部地域の山間部に位置し、豊かな自然に囲まれた人口約2000人の小さな村は人口減少が急激に進む。今年3月に開業した「オフィスキャンプ東吉野」は築70年の民家を改装し、Wi-Fi環境やプリンタ複合機を備えたシェアオフィスで、開業から半年間で約900名が見学や視察に訪れ、うち約100名が実際にシェアオフィスを利用したという。豊かな自然の中で時間に追われず、仕事に集中できるといった理由からデザイナーなどのクリエイターを中心に移住が進む。

今回の実証では、沖電気工業など4社の企業からのべ20名が社員派遣としてテレワークで業務を継続するほか、Uターンによる1名の移住を見込む。企業と地域の「共創」をコンセプトに、地域の特色を生かした地場産品の開発と発信、遠隔雇用の可能性も検証する予定だ。

また、福島県会津若松市ではアクセンチュアなど3社から経営コンサルティングやシステム設計などこれまで本社で行っていた業務に従事する社員が同市に移住、独自のマッチングシステムにより本社勤務時と同等の業務を継続できるようにする。将来的には専門的スキルをもつ人材を現地採用して都市部への人材流出を防ぎ、地方での高付加価値業務のテレワーク化に取り組む。

「ふるさとテレワーク推進事業」の採択案件一覧
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