働く、が変わる TELEWORK

多様化する個人の働き方とオフィス 働く人の多様性に合わせオフィスを変革

テレワークが普及して働き方が変わると、オフィスの環境や機能にも変革が求められる。働く社員が活躍することで業務効率を高め、イノベーションを創出するためにはどのようなオフィスが求められるのか。

オフィスラボの受付

岡村製作所(東京都千代田区)では組織の創造性を最大限に発揮する働き方である「クリエイティブワーク」を推進するための実験や検証を目的として、2009年に「オフィスラボ」を開設した。オフィスラボには同社のオフィス研究所をはじめ複数の部署のスタッフが勤務して様々な働き方を実践している。同研究所は2015年8月、書籍「オフィスはもっと楽しくなる」を出版した。生産性や創造性を発揮する働き方と空間の関係について、同書籍を共著したマーケティング本部 オフィス研究所の花田愛氏と森田舞氏に聞いた。

仕事の内容に合わせて働く場所を選ぶ

オフィス研究所では時代の変化に合わせて働く場のあり方を研究している。「オフィスラボ」の開設をきっかけとして働く人たちの環境や働き方に注目し、オフィス空間の快適さを追求する取り組みも加速している。「与えられた仕事をこなすだけではなく、新たな価値を見い出すことがますます求められています。働く人の多様性が広がり、各自が工夫しながらパフォーマンスを発揮することが主流になると思います。もちろん働く人が多様になると働く場であるオフィスにも変革が求められるはずです」と花田氏は出版のきっかけを話す。

森田氏は「オフィスの中で誰もが健やかに働けるようになれば業務効率が向上して仕事の創造性も高まります。例えば、いつも決まった席に座るのではなく、各自の働き方に合わせて場所を変えて働けるようになればオフィスという空間はもっと楽しい場になるかもしれません」と話し、オフィス空間の快適さと仕事の生産性は比例すると分析する。

「集中」と「協働」に切り分け

働く場づくりでは、「個」として集中作業をするのか、「チーム」として協働するのかが大きなポイントになる。森田氏は「大きく分けると個人で集中できる空間と、チームのメンバーがコミュニケーションできる協働のスペースを設けることが大切です。オフィスラボでは、一人でこもれる空間や、まわりに対してオープンなミーティングエリアなどを使い分けながら働いています」と話す。

「居場所を選べる自由度が与えられることで仕事へのモチベーションが向上したという結果も得られています。多様化する個人の働き方に対して働く場も多様になることが一つの解決策になるのではないでしょうか」と花田氏は提言する。

“ペアワーク”という働き方

花田氏と森田氏は書籍「オフィスはもっと楽しくなる」の執筆にあたって、“ペアワーク”という働き方を推進してきた。ペアワークというワークスタイルは、ペアの二人が協働する取り組みだ。

マーケティング本部オフィス研究所の
森田舞氏(左)と花田愛氏(右)

対等な立場で意思決定

両氏はペアワークについて、一つのプロジェクトや業務において一人がすべてを引き受けるのではなく、ペアとなる仲間と協力し合い作業を遂行する働き方だと考えている。上司・部下や、マネージャーとアシスタントという異なる立場ではなく互いが対等の立場で意思決定や作業の分担を行う。花田氏は「ペアワークの実現にはテレワークのようなITを活用したワークスタイルは必須でした」と話す。

育児や介護など働く人を取り巻く環境の変化によって、決められた時間にオフィスで働くことに制限のある人たちが増えている。ペアワークではどちらかが不在にしたときには、もう一人が判断や指示を進める。「以前のように電話やFAXでしかコミュニケーションができないのであればペアワークは成立しないかもしれません。いまはどこにいても、手元にパソコンがなくても、メールなどによって同時に複数の関係者とコミュニケーションが可能なので、常にペア同士で同じ情報を均等に把握できます。そのためどちらか一方が業務から離れていても、もう一方で対応できるのです」と森田氏はメリットを強調する。

業務を補完 解決力が向上

両氏も書籍の執筆においてペアワークの成果を実感しているという。「お互いに業務を補完し合えるメリットのほか、ペアでプロジェクトに取り組むと判断の精度もスピードも上がります。解決力が増すので効率も上がると思います。一人で抱え込んでしまうと悩んでしまいがちですが、二人ならば相談して解決策を見出せることにも価値を感じます」と両氏は語った。