高論卓説

アイデンティティーを早期に確立せよ ブランド生態調査に見る現代事情 (1/3ページ)

吉田就彦

 丸の内ブランドフォーラムが先日発表した「ブランド生態調査~首都圏・関西7000人のブランド生態系」が面白い。この調査は、好きな理由とともに全てのブランドを純粋想起で聞くという恐らく日本で初めての調査だ。各ブランドに対する純粋な消費者の生の声の集積とも言え、多くのマーケット分析者がこれまでに得ている消費者の自社ブランドへの知見が、いかに限定的なものだったかが明らかになった。(吉田就彦)

 調査のプロが、できるはずがなく非常識と指摘したこの調査は、好きなブランドを「純粋想起」で、その理由を「自己記入」で尋ねるという手法だ。そこから見えたことは、消費者の頭の中にあるブランドの記憶や体験が、その重ねられた体験や生活の中での関わり方により明らかになることだ。

 1人につき固定領域4つ(住まい、クルマ・交通、街、生活雑貨・日用品)と、選択領域(ファッション、家電・通信、美容・健康、情報メディア、レジャー・エンターテインメント、食品、ショッピング先)の中から3つの計7つの領域について調査が行われているので、それぞれの消費者の生活スタイルが色濃く表れることになる。例えば、59歳女性(千葉県在住、世帯年収2000万円以上)の脳内ブランド記憶は、住まい→野村不動産、MOKUBA、積水ハウス、ショッピング→高島屋、IKEA、ユニクロ、生活雑貨→ダイソー、無印良品、ファッション→COS、群言堂、ユニクロが純粋想起され、その理由が、それぞれのブランドごとに事細かくデータ化されている。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus