東京商工リサーチ特別レポート

スルガ銀、大荒れの株主総会を検証する 怒号と強行採決…新事実も波紋 (1/4ページ)

東京商工リサーチ

 6月26日、投資用不動産向け不正融資問題で揺れるスルガ銀行の第208期定時株主総会が、静岡県沼津市内で開催された。昨年より150名多い556名の株主が出席した。

 開会直後に、有国三知男・代表取締役社長の議事進行に反対動議が提出されるなど荒れ模様の総会は、継続審議を求める声が多く出る中、スルガ銀行側が採決を強行。有国社長の再任や嵯峨行介・SGホールディングス取締役の取締役新任など、すべての議案が賛成多数で可決された。

 怒号飛び交う中、3時間22分で閉会した株主総会は、なぜここまで混乱したのか。

「シェアハウス被害者」と「サクラ?」

 総会は午前10時の開会前から異様な雰囲気に包まれていた。スルガ銀行のシェアハウス向け不正融資の被害者とみられる30~50歳代の男性らが、会場に設けられた複数の株主発言用のマイク近くなどに着座。一方、40~60歳ほどの女性たちが、複数のペアで会場内のいたるところに散らばって着座した。

 総会の出席者は、女性ペアを「スルガ側のサクラ」と切り捨てる。東京商工リサーチの取材にスルガ銀行は、「総会は株主の方がご出席いただける場」と説明する。会社側の方針に賛同する株主がいるのは、どこの株主総会でも目にする光景だ。

 それぞれのグループは、作戦会議をするように、開会まで会場内を動き回ったり、アイコンタクトを重ねた。総会が始まると、「被害者」を中心に有国社長の退陣、そして議案を一括審議とする進行方法の是正などを求める動議が幾度となく提出された。そのたびに会場内は拍手で包まれた。

 こうした動議に対し、議長の有国社長は、「私としては反対であります」と述べた上で、提出された動議の「否決」を問う採決が目立った。

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