社長を目指す方程式

言動から「相手の癖」を分析 上司に薦める部下・取引先との関係改善術 (4/4ページ)

井上和幸
井上和幸

 エミアブルタイプとのコミュニケーションは、周囲の気持ちをくみ取ってくれる傾向にあり、人付き合いしやすいスタイルだと言えます。しかし、やや優柔不断なところがあり、決断に時間がかかってしまうのが難でしょうか。このときに決断を無理にせまればエミアブルは多大なストレスを感じてしまいます。決断ができない場面では、「一緒に考えませんか」など、相手に共感を持って接すると良いでしょう。

 「分かった」と言いながら、返事を先延ばしにするのもエミアブルの特徴の一つ。このとき、相手の心の中に、なんらかの言いにくい懸念材料、懸案事項があるケースが多いです。(「ルーズ、優柔不断だな」)とイラつく前に、まずは具体的な問題を粘りつよくそれとなく聞いてあげると糸口が見つかることも少なくないでしょう。

 最後にアナリティカルとのコミュニケーションですが、無口で感情を抑えるアナリティカルは「何を考えているのか、想像が難しい」といわれがちなタイプです。だからこそ、アナリティカルに対して感情的な対応は絶対にNG。このスタイルには相手は悪気がないことを認識して、辛抱強く対処するのがベストです。

 なかなか決断してくれず時間がかかり、無口なので何を考えているのか分からないのがアナリティカル。打ち合わせや商談においては、実際に頭の中で整理しているだけですから、アナリティカル相手に限っては、沈黙のままで無問題。「また、考えた上で電話する」と言われても、通常は信用できませんが、アナリティカルの場合は信用してOKです。ただし回答までに時間がかかることが多いですから、お互いが合意するデッドラインを決めておくことが重要ですね。またデータを重視しますから、仕事で決断を求めるようなケースでは根拠となるデータを提示するといった工夫も有効です。

 いかがでしたか? 部下や上司、あるいは取引先相手とのコミュニケーションにおいては、自分の「言い方の癖」を知り自覚することも非常に大事ですが、何よりも、自分と異なる相手のコミュニケーションの癖を知ること、自分と相手は異なるのだという自覚が第一歩。

 その上で、相手の「言い方、訊き方」に合わせてコミュニケーションできることもリーダーとしての社会対応力の基盤となります。

 自分と異なるタイプというのはストレスのかかるものですが、「異なるのだ」「どう異なるのか」というところを具体的に知っていれば、そのストレスもだいぶ軽減されるものです。

 この理論の活用はリクルートグループ(リクルートマネジメントソリューションズ社)が「STAR研修」として対人スキル向上研修を提供しています。私も20代の頃に所属部門で受講させて頂き、その後長らく大変役立っています。

 まずは今回の記事を熟読頂き、ぜひ周囲の部下たち、上司たち、取引先など(やご家族にも)に使ってみましょう。これまで難しく感じていた人がいらっしゃったら、これを契機に相手の反応、相手との関係性がガラッと改善するかもしれませんよ。

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井上和幸(いのうえ・かずゆき)
井上和幸(いのうえ・かずゆき) 株式会社経営者JP代表取締役社長・CEO
1966年群馬県生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、株式会社リクルート・エックス(現・リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に株式会社 経営者JPを設立。企業の経営人材採用支援・転職支援、経営組織コンサルティング、経営人材育成プログラムを提供。著書に『ずるいマネジメント 頑張らなくても、すごい成果がついてくる!』(SBクリエイティブ)、『社長になる人の条件』(日本実業出版社)、『ビジネスモデル×仕事術』(共著、日本実業出版社)、『5年後も会社から求められる人、捨てられる人』(遊タイム出版)、『「社長のヘッドハンター」が教える成功法則』(サンマーク出版)など。
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【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら

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