社会・その他

カネは落とさず、街荒らす 「クルーズ船で観光振興」はとんでもないウソだ (1/4ページ)

 奄美大島に大型クルーズ船を誘致する計画がある。だが、東洋文化研究者アレックス・カー氏らは「クルーズ船が立ち寄った場所に落とす利益は限定的であり、むしろ世界では既にクルーズ船の寄港に規制がかかる事態となっている」と警鐘を鳴らす--。※本稿は、アレックス・カー、清野由美『観光亡国論』(中公新書ラクレ)の一部を再編集したものです。

 いまだに根強い「質」より「量」を求める意識

 【カー】私は2019年に来日55年目を迎えます。日本の文化の多様性や豊かさ、その深さに感銘を受けて、それらを広く世の中に発信したいと、1980年代からずっと、日本の文化と観光振興に取り組んできました。

 根底にある日本への敬意は変わっていませんが、同時に日本というシステムそのものが持つマイナスの側面にも、これまでかなり意識を向けてきました。今は、観光分野にそのマイナスが象徴的に表れていると感じています。

 【清野】たとえばどんなことでしょうか。

 【カー】日本の観光業では、前世紀の高度経済成長期の「クオンティティ・ツーリズム(量の観光)」が、いまだに根を張っており、今の時代に通用する「クオリティ・ツーリズム(質の観光)」については浅い理解になっていることです。

 【清野】「質を重視する観光」ではなく、「量を重視する観光」が、いまだに幅をきかせている、ということですね。でも、現在進行形でずいぶん変わってきていると思うのですが。

 【カー】いろいろな旅の形が提案され、それらに魅力を感じる人たちが多くなっていることは確かです。しかし強固な意識基盤としてのクオンティティ・ツーリズム、あるいはマス・ツーリズムといってもいいですが、それはまだ深くはびこっています。たとえば奄美大島の大型クルーズ船誘致計画は、その典型的な事例の一つに挙げられます。

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