小麦「きぬの波」の産地
豊かな食文化も地方移住の魅力の一つだ。もともと野菜が好きではなかったという上野投手は「とにかく野菜がおいしいんです。キャベツやタマネギはすごく甘くて驚きました。野菜はあまり好きではなかったのですが、今では野菜を好んで食べるほどになりました」と、高崎に住んでから“野菜嫌い”を克服。宇津木監督は「上州牛。これはもう絶品です」と力を込めた。だがイチ押しは「高崎うどん」だという。
あまり知られていないが、高崎は小麦「きぬの波」の産地。小麦粉を使った「粉もの」料理が昔から市民に親しまれており、人口当たりのパスタ店が全国的にも多い「パスタの街」でもある。市内のイタリア料理店などがパスタの味を競う「キングオブパスタ」というイベントが毎年開催されるほどだ。
「元気になるエネルギーですからね。食がないと全力でプレーできません。地元で育てたものがいちばんおいしいと思います」と宇津木監督。輝かしい戦績を誇るソフトボール女子日本代表選手にとって高崎の食は、チームを率いる監督とエースの原動力にもなっているようだ。富岡市長は「高崎に移住していただいた方は『おいしい』とすごく言ってくれます」と目を細めた。
「住む場所の選択肢も増えてきた」
高崎市の魅力発信をテーマに行われた1回目に続き、2回目のシンポジウムは13日、「住居(建物/場所)×移住」をテーマに行われた。
地元の建築設計事務所「SNARK」代表取締役の小阿瀬直さんは「高崎をはじめとする地方都市では、地代や建物が比較的安く手に入ります。余った予算をデザインや建物を自分好みにすることに充てられます」と指摘。三菱地所エリアマネジメント企画部マネージャーの田口真司さんは「働き方の選択肢が増えてきましたので、住む場所はこれから変化していくのではないか」との見解を示し、「住む方に重心を置いてみると、(大都市から)少し離れた郊外の方がよいのではないかと言え、選択肢が増えてきたように思います」と語った。