転職でも使える、SPIN面接対応術
SPINの法人営業・大型商談での効果性を感じていただけたのではないでしょうか。
SPINの効力はB2Bの大型商談に限りません。もしあなたが転職をお考えなら、まさにその面接でも絶大な効果を発揮します。
そもそも転職活動とは、自分という商品を望ましい企業に「購入(=雇用)」してもらう営業行為。SPINを使って面接で話す場合の一例を見てみましょう。
以下、あなたが人事責任者として転職活動に臨んでいるとします。
1. 御社の人事部門で責任者をお求めとのことですが、現在、人事部門はどのような体制になっていらっしゃいますか?(状況質問)
2. なるほど、どのようなことが課題となっていらっしゃるのでしょう?(問題質問)
3. そうなのですね、今後の事業拡大・組織体制に合わせた人事制度が必要とのことで、同じような局面を乗り越えた人事制度刷新の成功例などがあるとよさそうですね?(示唆質問)
4. 私は現職で、御社と同様に数十名から数百名へと組織規模が急拡大する過程での人事制度改定や組織活性化策を導入・実施し、現在の当社の状況に達することに貢献してまいりました。このような経験やノウハウは、御社のお役に立ちそうでしょうか?(解決質問)
どうでしょう。この転職応募者は、一連の発言の過程で一切の「売り込み」「営業トーク」をしていません。行なっているのは、会話の流れに沿った「質問」だけです。まさにこれが望ましい転職活動における応募者側の話し方、説得の方法なのです。
SPINは更に、逆の立場である採用する側でも使える手法です。望ましい候補者に、売り込まずに我が社に入社することが望ましいと理解させることができます。
さらに、上司が部下を説得する会話でも有効だということは、ここまでお読みくださった上司のあなたなら、もうお分かりでしょう。ぜひ、SPINを使った部下説得のシナリオをご自身で作ってみてください。
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説得力とは、「相手の中に潜在的にある課題を顕在化させること」と「相手が自分で決めたと思わせること」の2つから成り立ちます。SPINを縦横無尽に使いこなすことで、あなたも説得力あり好感度高いマネジャーとなれること、間違いなしです!
※参考『大型商談を成約に導く「SPIN」営業術』(ニール・ラッカム 著/海と月社刊)。ソリューション営業を極めたい方には座右の書としていただきたい名著です。ぜひご一読ください。
【社長を目指す方程式】は井上和幸さんがトップへとキャリアアップしていくために必要な仕事術を伝授する連載コラムです。更新は原則隔週月曜日。アーカイブはこちら