《ソニー側の事業説明が終わり、議案の審議が始まった》
株主「ストリンガー会長兼社長からサイバー攻撃に関する説明があったが、この問題以降にソニーの株価は400円超下落した。適切な対処をしたと思うが株価の低迷は続いており、信用が回復していないことが如実に表れている。この際、社長を交代し、全世界にソニーの再生を示すことを提案する」
《会場からは拍手が起きる》
ストリンガー会長「東日本大震災の発生以降、ソニーの株価は下がってきた。最近の株価の低迷理由はいろいろと考えられるが、今回の出来事が株主と顧客、すべての利害関係者に心配と不便を掛けたことを申し訳なく思う。あらゆる対策を打つことで、高品質なサービスを提供する所存だ。管理体制についても最大限の強化を進める。震災でソニーは多くの問題に関わったが、社員の対応ぶりは大変すばらしいものだった。そして、私と取締役会が、株主に対しての果たすべき役割は、今までも進めてきた構造改革をさらに推し進めることにある」
株主「コンシューマープロダクト部門は収益性の悪さが続いている。リーマンショックがあったというが、言い訳は結構だ。そして、コンシューマープロダクト部門を率いる平井一夫副社長が取締役でないことに疑問を感じる。どうしてソニーの取締役は生え抜きが2人しかいないのか」
加藤優・最高財務責任者(CFO)「確かにコンスーマー部門の収益性は道半ばといえる。リーマンショック以来、円高の逆風に立ち向かいながら構造改革に取り組んできたが、まだ足りないという叱咤として、さらなる改善に取り組む。2011年度は2000億円の営業利益を見込んでいるが、東日本大震災前はもっと高い営業利益目標を想定していた。震災が起きてエレクトロニクス部門を中心に、影響を加味せざるをえないことになった。ただ、この目標に甘んじるのでなく収益改善の施策に取り組むことで、11年度の営業利益は2000億円を越えるように頑張る」