「テレビ時代」終止符も… ソニー、販売計画2000万台に半減 (1/3ページ)

2011.11.3 05:00

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 ソニーが2012年3月期に4年連続の最終赤字見通しとなったのは、液晶テレビ事業の赤字が通期で1750億円に達するとみられることが大きい。これを受けて同社は、2年前に4000万台と計画した13年3月期のテレビ世界販売台数を2000万台に半減することを軸にした新たな収益改善策を打ち出した。ソニーのテレビ事業の苦境は他メーカーにも共通しており、一時代を築いた日本メーカーの「テレビ時代」に終止符が打たれる懸念さえ出てきそうだ。

 ◆液晶パネル過剰

 「(液晶パネルの供給は)現状では過剰で、4000万台体制の前提が大きく変化した」。平井一夫副社長は2日の決算発表で厳しい表情を崩さなかった。

 平井氏は4月からテレビ事業を統括したが、4~9月期だけで550億円の営業赤字で、通期では赤字が1750億円に上る。このため抜本的な事業の方向転換が急務だと判断し、まずは今年度のテレビ世界販売台数を2200万台(7月時点)からさらに2000万台に減らし、来年度以降も同水準を維持。量を追う戦略とは決別する。

 この日打ち出したテレビ事業の収益改善策では、12年度に赤字を半減させ、13年度に10年ぶりの黒字化を目指す方針だ。その柱となる液晶パネルの調達コストの削減は、韓国サムスン電子とのテレビ用液晶パネルの合弁事業の解消が焦点になりそうだ。これについて平井副社長は「サムスンと競争力改善のための方策を協議する」と事業解消の可能性に含みを持たせた。

 ソニーに限らず、かつて日本の産業の“屋台骨”を支えたテレビ事業の収益悪化は各社共通の経営課題だ。