月額980円のデータ通信サービスは、仕掛けたイオンも驚く売れ行きが続く=12月29日、東京・東品川のイオン品川シーサイド店【拡大】
携帯電話事業者がスマートフォン(高機能携帯電話)の普及でデータ通信サービスの高速化を競うなか、通信速度が“遅いが安い”新サービスの人気が急速に高まっている。流通大手イオンが日本通信と組んで販売する月額980円のデータ通信カード(スマホなどに差し込んで通信するカード)の売れ行きが絶好調。NTTドコモも3月から同様のサービスに乗り出す。家電量販店も参入を検討するなど、速度より低料金を求めるニーズに応えたサービスが新たな市場を生みそうだ。
予想上回る売れ行き
イオンが販売するのは、日本通信が開発した「b-mobileSIM(ビーモバイル・シム)」。データ通信専用で昨年6月から月額980円で売り出した。当初は14店舗のテスト販売だったが、「ほとんどの店舗で即日完売」(イオンコーポレート・コミュニケーション部)となり、急ぎ全国展開へ。11月までに265店舗に広げ、月間5000~6000枚のペースで売れているという。
都内でトップの売り上げがイオン品川シーサイド店(東京・東品川)の携帯電話売り場。新規事業担当の寺田修平さんは「発売初日に用意した50枚は午前中に売れ切れました。初心者向きだと思っていたけれど、ヘビーユーザーが意外に多い。よく使う人こそ料金を気にしているようです」と予想外の反響に驚く。いまも休日は50枚以上売れているという。
ビーモバイル・シムは、利用できる通信会社を限定する「SIMロック」を解除したスマホや携帯電話に差し込んで通信できる。通信速度は、毎秒100キロビットとドコモの高速データ通信サービス「LTE」(最大37.5メガビット)に比べ375分の1と格段に遅いが、通信料金は大手携帯電話事業者のサービスが月額5000円前後するのに対して、5分の1だ。