記念写真に納まる日本航空の(左から)大西賢社長、次期社長の植木義晴専務執行役員、稲盛和夫会長=17日午後、東京都品川区【拡大】
平成22年1月19日の経営破綻から丸2年の節目を迎える日本航空。再建のため、鳴り物入りで迎えられた京セラ創業者の稲盛氏は、生え抜きの経営陣に今後の再生を委ねた。法的整理に伴う債務圧縮や不採算路線からの撤退、人員削減などのリストラに加え、稲盛氏によるコスト意識の徹底で、業績はV字回復を果たした。今後は台頭する格安航空会社(LCC)などとの競争に打ち勝つための成長戦略が問われる。欧州債務危機による世界経済の減速や原油価格の高騰など先行きへの不安材料も山積している。
「生え抜きのリーダーによる執行体制が大切になる。将来を託すリーダーを育てることを最重要課題として全力で取り組む」
稲盛会長は17日の会見で、経営刷新の理由を説明すると同時に、大西会長・植木社長体制を全面的にバックアップしていく意向を示した。
稲盛体制の下で再建が想定以上のペースで進んだのは、企業再生支援機構による3500億円の出資や金融機関の5215億円の債権放棄で、借金体質から脱却できたことが大きい。
さらにこれまで地方自治体や地元政治家への配慮でメスを入れられなかった不採算路線から次々に撤退。「断腸の思い」(稲盛氏)で、指名解雇にまで踏み切った。