インターネットを介して消費者から直接注文を受け、自然食品や食材を配送する事業で2桁成長を続けるオイシックス(東京都品川区)。東日本大震災後はいち早く放射性物質の検査態勢を整え、消費者の食への不安解消に応えるとともに、被災地の生産者支援にも力を入れている。
同社は高島宏平社長らが2000年6月に設立。同社の母体となった企業は航空券やアクセサリーなど幅広い品目の販売を手がけていた。
食に焦点を当てることにしたのは、ネットを活用すれば、流通ルートを短縮できるほか、健康情報などを同時に提供できると判断したためだ。
11年度の自然食品宅配市場は約700億円規模とみられているのに対し、同社の11年3月期の売上高は約82億円。
同社が掲げる食の安全へのこだわりは、昨年の大震災直後にも発揮された。地震発生翌日の3月12日、東京電力福島第1原子力発電所の事故が深刻化する前に開いた社内会議で最悪の事態を想定し、放射能検査機器の導入を決定。早くも18日には配送する食品の検査を開始した。
当初は国の暫定基準値以下かどうかを確認して配送していたが、昨年7月以降は震災前の水準に引き上げ、今年1月からは4月からの新基準値に改めた。放射性物質が検出されない「ベビー&キッズコーナー」も常設し、子供の健康への影響を心配する消費者の需要に応えた。