トヨタ自動車は16日、豊田通商グループとともに、パプリカ栽培の植物工場を宮城県大衡村に建設すると発表した。同村にあるトヨタグループのセントラル自動車宮城工場の隣接地に、大型の栽培ハウスを設置。工場の自家発電施設から出る熱を利用して生産コストを削減する。将来的には自動車の製造ノウハウも取り入れ、農業への応用の可能性も模索する。
用地面積は約3ヘクタール、栽培面積は約1.8ヘクタール。2013年1月に稼働させ、年間315トンの収穫を目指す。豊田通商グループが出資する農業生産法人「ベジ・ドリーム栗原」(宮城県栗原市)が運営にあたる。
セントラル自動車の工場が持つ自家発電装置の余熱を利用。温水を沸かして、栽培ハウスに供給して保温する。通常のガスを使った暖房装置よりも、二酸化炭素(CO2)排出量を25%削減できるといい、環境への負荷を減らしながら、生産コストも7%抑えられるという。
ベジ・ドリーム栗原は既に栗原市内に2つの農場を保有しており、パプリカの生産量は国内1位。新施設の稼働で生産能力は現在の840トンから約38%増の1155トンに拡大し、輸入品が95%を占める国内のパプリカ市場で影響力をさらに高める。
トヨタ自動車の白根武史専務役員は「トヨタの効率的なものづくりのノウハウは必ず農業にも生かせる」としている。