アサヒビールなどの持ち株会社であるアサヒグループホールディングス(HD)が、清涼飲料大手カルピスを買収する方向で、カルピス親会社の味の素と最終調整に入ったことが27日、明らかになった。買収額は1000億円規模となる可能性があり、国内飲料業界で過去最大規模のM&A(企業の合併・買収)となる見込み。アサヒは傘下のアサヒ飲料などで展開している飲料事業を強化する狙い。アサヒ飲料の飲料販売量は昨年4位。買収が実現すれば、アサヒグループのシェアは伊藤園を抜き、業界3位に浮上する。
アサヒと味の素は同日、それぞれカルピス株の売買について「検討中」と発表。5月中にも合意する見通しだ。
アサヒ飲料とカルピスは、すでに自販機の運営管理で提携するなど親密な関係にある。アサヒは買収で知名度の高い乳性飲料ブランドを商品ラインアップに加えられるほか、研究開発や営業面でも相乗効果を期待しているようだ。
少子高齢化や若者のビール離れで、アサヒグループの主力である酒類事業は国内で高い成長が見込めなくなっている。このため、オセアニアやアジアでM&A戦略を進める一方、国内の飲料や食品事業の強化が課題になっていた。
一方、2007年にカルピスを完全子会社化した味の素は、株売却で得た資金を成長投資に振り向ける考え。
アサヒ飲料と、チルド(冷蔵)飲料製造のエルビーを合わせたアサヒグループHDの飲料事業の11年12月期の売上高は3247億円、営業利益は113億円。カルピスの12年3月期の売上高は1106億円、営業利益は45億円。単純合算すると売上高4350億円、営業利益で150億円を超える。