スポーツクラブを運営するルネサンス(東京都墨田区)は、脳の活性化につながる健康維持プログラム「シナプソロジー」を開発、全国79のクラブに導入した。同プログラムの外販にも力を入れ、自治体が進める高齢者の認知症予防対策や企業のメンタルヘルス(心の健康)対策としても提案したい考え。
シナプソロジーは、視覚や聴覚などの「五感」を刺激しながら自然に体を動かす。簡単な動作が多いため、健康を気遣う高齢者や運動が苦手な子供でも気楽に参加できる。
シナプソロジーの特徴は、トレーナーの指示に反応してゲーム感覚で身体を動かすこと。多彩な動作方法をスポーツクラブ「ルネサンス」の会員を対象に提案する。1回当たりのレッスン時間は10~20分。
例えば、複数のシナプソロジー参加者が輪になり、1から順に数を数えながらボールを右隣の参加者に回していく。その過程でトレーナーが「3の倍数(3で割り切れる数字)になったら逆方向に回す」といった指示を繰り返し出す。指示に応えながら手足を動かすことで、脳を鍛える仕組みだ。
脳を刺激する運動の効果は、筑波大学大学院人間総合科学研究科の田中喜代次(きよじ)教授の協力を得て、昨夏に測定した。企業に勤める23~55歳の男女37人が2カ月間のプログラムを体験したところ、「手先の器用さ」や「注意・判断機能」などが体験前との比較で向上したという。
並行して、昨年12月からシナプソロジーに精通したトレーナーの養成も開始、これまでに350人以上が同社認定インストラクター(技術指導員)の資格を取得した。
シナプソロジーの普及に向けて、今後はトレーナーを養成したい代理店に教材を提供するビジネスにも注力する。スポーツクラブ間の競争が激化する中、「ソフトの提案力」で競合との差別化を図る。