JR東海のリニア・鉄道館(名古屋市)が3月14日に1周年を迎えた。東日本大震災発生直後の開館で、鉄道業界に出控えムードが重くたれ込めた1年だったが、年間の来場目標60万人に対しほぼ倍の109万人が訪れ、“未来の乗り物”リニアへの期待が関係者の予想をはるかに上回る結果となった。地元・東海からの来場者はさることながら、関西からも2割を集客。関西人の心をつかんだ仕掛けを、館長ら関係者に取材した。
JR東海はリニア中央新幹線(リニア)の開業時期について、東京-名古屋間を平成39年(2027年)、大阪までの延伸は57年(2045年)としており、関西財界は早期全線開業を求めてきた。「置いてけぼり」感が否めない関西から、リニア館が2割の来場者を獲得したのは意外な展開だ。
「関西の高い比率に驚いている。駐車場を時折のぞくと、特に姫路や堺、京都などが多いですね」
金子利治館長さえこう話す人気のワケを探ろうと、館長とともに館内をチェックした。一番の目玉はJR東海道新幹線沿線の名所を盛り込んだ約220平方メートルの日本最大級ジオラマだ。
実はこれは大阪府豊中市の模型会社、ヤマネが製作したもの。関西企業らしく精巧かつ突っ込みどころ満載なつくりで、これを目当てに訪れるリピーターも多いという。