トヨタ野菜工場 日本が誇る「もの造り」を農業に (1/4ページ)

2012.5.4 05:00

排熱を利用したパプリカ栽培工場。中小企業の技術力も重要な役割を果たしている

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 トヨタ自動車が宮城県にパプリカ栽培の植物工場を建設-。こんなニュースが4月、話題を呼んだ(同月17日付本紙既報)。「農商工連携」というべきこの動き、トヨタが野菜栽培に乗り出すところだけにおもしろさがあるのではない。日本の製造業が誇る「もの造り」の強みを農業に生かすというこのチャレンジに、実は無名の中小企業が決定的な役割を果たしていた、という点にこそ、新しい産業のあり方を考える上での大きな示唆がひそんでいる。

 パプリカ生産の双璧

 東北復興支援の一助としてトヨタ自動車グループが手掛けるパプリカの生産販売は、小型ハイブリッド車(HV)「アクア」や「カローラ」を造っている子会社の車体組み立てメーカー、セントラル自動車の東北工場(宮城県大衡村)の隣が舞台。工場の排熱を利用する温室農場を建設し、2013年から生産を始める計画だ。

 新規で20人を雇用する。トヨタ生産方式など効率的なもの造りのノウハウを活用して農業の生産性を高めることにも貢献したい考えで、宮城県の村井嘉浩知事は「単なる原状復帰ではなく、農業の新たなビジネスモデルを作ることに貢献してもらいたい」と語る。将来的にはトヨタのグローバルなネットワークを活用して輸出も検討し、「海外に復興のメッセージを伝えたい」(清水順三・豊田通商副会長)という。