今春から国内路線が相次ぎ就航している日系格安航空会社(LCC)の間で、早くも「空の価格破壊」が始まった。すでに福岡、新千歳(札幌)、那覇などの「ドル箱路線」では運賃の値引き合戦が勃発、LCC同士の消耗戦の様相を呈してきた。安値を武器に新幹線や高速バスの顧客を奪うという思惑とは裏腹に、際限のない価格競争の幕が開いた。
最低価格「1円」
日本航空系のジェットスター・ジャパンが4月17日に開いた国内線運賃の発表会は、この手の発表会とは一風変わった雰囲気が漂っていた。何しろ発表場所は流行発信の街、東京・秋葉原。「絶対に何か仕掛けてくる」。業界関係者の多くはそう感じ、メディアに混ざり、ライバルの全日本空輸関係者もお忍びで姿を見せた。
業界関係者の予感は的中する。カンパニーカラーのオレンジ色の看板に示された運賃は国内最安値の「1円」。発表後、すぐにインターネットのウェブサイトを通じて、1万席分の片道航空券が発売された。驚く出席者を前に、鈴木みゆき社長は「低運賃の提供により、観光業に新たな事業機会を創出し、就航都市に経済効果をもたらしたい」と、してやったりの表情を浮かべた。
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