NTTドコモが6月にも英インマルサットの衛星携帯電話サービス「IsatPhone Pro(アイサットフォン・プロ)」を国内で提供することが21日、分かった。衛星通信サービス会社のJSATモバイルコミュニケーションズ(東京都港区)が近く総務省に免許申請する予定で、ドコモは同社を通じインマルサットの衛星ネットワークを自社サービスとして提供する。ドコモが国内で仮想移動体通信事業者(MVNO)として他社のネットワークを利用するのは初めて。
アイサットフォン・プロはインマルサットが2010年秋から本格サービスを始めた衛星携帯電話サービス。赤道上空3万6000キロの軌道上にある静止衛星3機で極地を除くほぼ世界中をカバーし、音声通信とショートメッセージが利用できる。
ドコモは現在、独自の衛星携帯電話サービス「ワイドスターII」を提供しており、出荷台数は4万2000台と国内市場の6割強を占めている。しかし、端末価格が30万円以上と高価なうえに重量も1.3キロあり、アンテナの設置など利用に手間がかかるのが難点。
一方、アイサットフォン・プロは、端末価格が10万円を切り280グラムと軽量。本体に装着した小型アンテナを回転させれば、すぐに通話できる利便性も特徴だ。東日本大震災後、自治体などで通信確保のために衛星携帯電話の導入機運が高まっており、ドコモでは価格競争力の高いアイサットフォン・プロで新規顧客開拓を狙う。